引越しながら作曲をするとは、どういうことか、考えています。
引越で、どんどん段ボール箱に詰めていくと、古いものが出てくるんです。あれ、ぼく、こんなもの持ってたんだ。あ、ぼく、こんな原稿を昔書いてたんだ。あ、ぼく、こんな譜面書いてた。過去の自分がやっていたこととか、やりかけたけど実現しなかったこと、そういった記憶から消えていたものが、蘇ってくる。で、甦ってくるのだけど、それとじっくり付き合う時間もなく、それを段ボール箱に詰めていく。
引越っていうのは、自分の過去を編集していくような作業です。これは捨ててしまおう。これは残そう。だから作曲というのも、過去の色んな気持ちを編集していくようにしてできるのかもしれません。
今、ぼくが作りたい音楽は、引越で発掘されたものたちを(それは未熟だったり、中途だったりするのですが)出発点に、それを成長・発展させてできる音楽。そういう音楽を書きたい。だから、作曲は、発掘作業です。
今、そうやって発掘しています。