野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

仕事を開拓する

来年度、オーケストラと仕事をすることになりました。ただ、オーケストラの新作を作曲するのではありません。楽団員の人々と、楽団外の人々が交流する場を設定し、その交流の中から音楽を創作していくプロジェクトを行います。本日は、その準備段階として、オーケストラのメンバーの方々と顔合わせ。プロのオーケストラのメンバーが、音楽家でない方と交流し、そこから作曲をする/創作をする、と言っても初めてのことで、楽しみにされている面と不安に感じる面がおありだ、ということがよく分かりました。不安になるようなチャレンジをするというのは、良いことだなぁ、と思いました。逆にぼくの方は、経験が多数あるだけに、皆さんの不安を解消させたり、安心させる役割も担うわけですが、しかし安易にやり慣れた道筋を通らないようにしなくっちゃ、ぼくもオケの方々くらい不安になるくらい冒険もしなくては、と思いました。その後、オーケストラの事務所に、若者の就労支援をしているNPOの方々が来られて、「オーケストラ×若者の就労支援」で、いかなる企画ができるかを考えました。なるほど、これまでの就職活動は、既にある企業を選択していくことでしたが、今は、既にある企業の多くに未来がなかったりすると、未だ存在しない自分に合う仕事を生み出していく/でっちあげていくことも大切だったりするのでしょう。ぼくのような作曲家もそうで、今までにあった作曲家の仕事だけではなく、今の時代に新しく作曲家の仕事を発掘/開拓していく必要があるわけですし、そうしてきたわけです。ひょっとすると、オーケストラも21世紀のオーケストラの仕事の仕方というのを、発掘/開拓していく時期にきているのかもしれません。そういう意味で、NPO、オーケストラ、ぼく、という3者の立ち位置は全然違う異業種のコラボと思って話しているうちに、実は、それぞれが同じ地平に立っているような気がしてきました。ぼく達は、不安定な時代を生きているとも言えますが、過渡期で面白い時代に生きているようにも思います。そんな時代に生きていることを楽しみたいと、思いました。