野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

のだめカンタービレ

金沢での休暇もあと少しなので、基本ごろごろ休んでいます。

のだめカンタービレ」という漫画を、ぼくは初めて読みました。音楽大学を舞台にした面白い漫画なのですが、読んでも読んでも、作曲科の学生が出てこないのです!

ピアノ科の学生、ヴァイオリン科の学生、声楽科の学生、打楽器科の学生、そしてピアノ科の先生などが出てきます。メインの登場人物に作曲の学生や作曲の教授がいないだけでなく、脇役も含めて、一度も作曲の学生も作曲の先生も出てこない。これは一体どういうことなのか!!!

それでいて主人公の「のだめ」は、ピアノのレッスンの時間にピアノの先生と一緒に作曲をしていたりするのです。また、もう一人の主人公のピアノ科在籍で指揮者志望の「千秋真一」も、なぜだか作曲をしているのですが、二人とも作曲科の学生とも先生とも全く接点がないし、接点を持とうともしない。意図的に作曲科を排除して描かれているように感じてしまいました。

それで意地になって、作曲科の学生が登場するまで読もうと思って読んでいたら、結局、夜が明けてしまい、11巻まで作曲科の学生が登場しないままダウン。しかも、途中で、巻末のスペシャルサンクスのところを見ると、何巻にも渡って、作曲家の人の名前があげてあるのです。この作者は、作曲家に取材をしていて、しかも、意図的に作曲家を漫画に登場させていないのです。

漫画はそれなりに面白いのですが、作曲家があまりにも登場しないので、悲しくなってしまいました。文ちゃんによると、18巻になって(舞台はフランスで)、テルミンを演奏する作曲の学生が、ごくわずかだけ登場するのだそうです。ちなみに、音楽学に関しては、全く登場する気配すらありませんでした。

もし、この漫画が、かなり取材をしっかり行って書かれたものだとするならば、現実の音楽大学の中で作曲科の学生も先生も影が薄く、他の学科の学生・先生たちとの交流が少ない、ということになります。現実はそうなのでしょうか?(ご存知の方、ぜひ、教えてください)。

もし、そうならば、音大の作曲科の学生たち、先生たち、もっと交わっていきましょうよ!