野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

関西鍵ハモナイト

京都の丸太町のetwで、関西鍵ハモナイトです。4バンド、全出演者が鍵ハモを演奏しました。今回は林加奈のプロデュース!

1番目が、エプフェル。ドイツ製のボタン式メロディカだけを使う女の子4人組。赤いメロディカと緑のメロディカの2種類を4人がそれぞれ持っていて、いすもコーナンで買った500円の椅子をペンキで赤と緑に塗って、衣装も赤と緑。そこで、バンド名もドイツ語で、しかも赤と緑の色をしているもの、ということで、りんご=エプフェル、となったらしい。4人の音色が区別がつかない上に、姿勢もほぼ同じで、ボタン式で指があまり動かないので、誰がどの音を出しているのか分からない。だから、ソロのメロディーが他の声部に溶け込むので、意外にもアルボ・ペルトの曲が一番響きがマッチしていました。

2番目のバンドは、白雪鍵ハモ隊。これは、まさしく鍵ハモナイトから生まれたのです。昨年の大阪での鍵ハモナイトを人形劇団「京芸」の人が見に来ていて、鍵ハモを吹きながらやる人形劇を作りたいと、P−ブロッに依頼がありました。最初はP−ブロッでやろうと思ったのですが、関西在住ということもあって、結局、林加奈が演奏指導と音楽の作曲を全部やってくれました。それで、しょうぎ作曲をしたり、いろいろなP−ブロッの蓄積が子ども向け人形劇に盛り込まれることになったわけです。今日のライブでは、人形劇の中のいくつかのシーンも見せてもらいましたが、人形動かすと、メッチャかっこいいのです。ということで、日本全国でこの人形劇がツアーをするそうです。

3番目のバンドは、OORUTAICHIYtamoさんのデュオです。ピアノや色んな楽器で演奏するそうですが、今日は是非この二人が鍵ハモをやったら面白いだろうということでの出演。即興で3曲やってくれたのですが、鍵ハモ+ポータブルキーボードや、ウクレレ、などシンプルなセットで、しんの通った素晴らしい演奏でした。音に意思が通っていて、すごくよかった。ぼくも一緒に演奏してみたい、と思った。
http://www.okimirecords.com/

そして、4番目が、P−ブロッminiでした。林加奈野村誠ともし誰かP−ブロッのメンバーが来られたら入る、ということで、P−ブロッminiとしたのですが、他の3人はみんな東京在住で、たまたま関西でのライブなどが入れば寄ってもいいということでしたが、誰も来られなかった。ところが、赤羽美希さんがたまたま関西に来る用事があったので、いきなりメンバーに入れてみました。

1曲目は、しばてつの名作「ビネール」ですが、生まれて初めてこの曲でバスをやったのですが、これが楽しい。P−ブロッでは、だいたいバスは鈴木潤がやっていて、たまにバスをやると、やたらにアップテンポで息がしんどい曲なのです。しかし、「ビネール」は、息も苦しくない上にベースのおいしさたっぷり。いやぁ、楽しんでしまいました。

そして、せっかく鍵ハモナイトなので、鍵ハモの特殊奏法解説をやってみました。ついつい調子にのって、10分近くやってしまった。やりすぎだ。

2曲目は、「この道」。これはかなりアドリブや即興でいろいろやれる曲なので、かなり遊ばせてもらいました。

3曲目は、鶴見幸代さんの「おほほ」。笑っているようなリズムばかりの曲。これは、なかなかかわいく良い感じで演奏できたので、作曲者に録音を送ってみよう。

4曲目は、近藤浩平さん作曲の「鍵盤ハーモニカの為の小品集」。演奏前に、作曲者の誕生日を祝うハッピーバースデイを演奏し、その後作曲者にインタビューをしました。近藤さんも昨年の関西鍵ハモナイトを聴きに来てくれて、この雰囲気のイメージで作曲したと言っていました。3曲の曲のイメージも作曲者の言葉を聴くというのは、最高に面白く演奏にも入り込みやすかった。

5曲目は、田中吉史さん作曲の「うろおぼえの旋律とコラール」。この曲は、難しい曲で、ちょっと気を抜くと演奏が崩壊するのですが、聴いている人はリラックスして音響を楽しめる曲です。少し事故もありながらも、復帰してなんとか緊張感を持って最後まで演奏できました。しかし、次回リベンジをしたい。でも、加奈ちゃんによると、OORUTAICHIさんが「あの曲、やばかった」と気に入ってくれたそうで、田中吉史の「吉」と「史」の文字まで確認して帰って行った、と報告してくれた。崩壊するかもという緊迫感でのリラックスできない演奏者のテンションと音の微妙なずれ合いが生み出す音響が、怪しい音楽になっていたのかもしれない。これはこれで、作曲者に録音を送ってみよう。

最後は、3人で作った新曲。加奈ちゃんが即興でお話を作る曲。しばてつの「イロナヤハンダ」と似た手法だ。即興語りの最後に、加奈ちゃんがetwの店長の松下さんを登場させて、最後に松下さんも楽器をやって終わった。

鍵ハモナイト恒例のお客さんを交えての全員セッションでは、ボレロをやりました。ひとりずつ増えていくのですが、リズムを刻むのは簡単だけどメロディーはみんな覚えていないので、ぼくばかりがやることに。そして、最後には、人形劇の人形もボレロに合わせて踊り、終演。

ちなみに、終演後に知ったのですが、吉田省念くんが家族でやっているバンド「現代家族」でもボレロをやったことがあるのだそうです。