野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

坂野嘉彦さんと会う

野村幸弘さんとの用事が終わった後、日帰りで東京に戻ろうと思っていましたが、片岡祐介さんがひょっとしたら岐阜にいるかも、と思って、携帯に電話したら、いました。だいたい、勘の働く通りに動けばいいのですが、片岡由紀さん、そして、作曲家の坂野嘉彦さんも一緒でした。

で、その後、カフェ→居酒屋→ファミレスと10時間くらい語り合うことになりました。話し始めたら楽しくて仕方がないのです。そうやって、話しているうちに、えずこホールの音楽劇のアレンジの仕事もお願いすることになりました。えずこホールの音楽劇では、鶴見幸代さん、寺内大輔さん、坂野嘉彦さんの3人の作曲家が関わってくれることになりそうです。ワークショップで出てきたものを吹奏楽、合唱、ギターアンサンブルなどに編曲してもらうのです。

で、普通の公演なら最終的に発表する舞台が完成した作品です。しかし、今回の公演では、途中も全て作品としてしまおう、と考えています。最初にワークショップでつくった15行のテキスト、これも作品です。しかし、このテキストは、小説家の飯田茂実くんが書いた戯曲のための素材にもなります。飯田君の戯曲は作品です。ところが、この飯田くんの戯曲を素材に、片岡さんが「楽器によるペアダンス」という作品を作りました。

こういった具合に、それぞれの作品は作品として独立しながら、さらに、その作品を素材にした別の作品が生まれていく、という作品の連鎖を作ります。最後に発表されるのが作品で、途中はスケッチ・草稿として作品とは呼ばれません。ところが、その途中というものも作品にしてしまおう、という試みです。

ワークショップの内容やその成果を書きとめたものは、著作権が発生する作品だと思います。そうすると、普通は著作者の許可が得られないと、勝手に上演したり、それを素材として新しい作品を作ることはできません。今回は、こうした作品が連鎖反応を起こしながら新たな作品を生み出していくこと、そして、その途中の作品は、10周年の公演以後も発展したり展開したりすることを目指しています。ということで、各作品の創作にメインに関わった著作者をきちんと明記することと、それぞれの作品を他の人が自由に使用できる仕組みを考えていきたい、と思います。オープンソースとして誰もが自由にアクセスできる様々な作品を生み出すということができれば、と思います。

坂野さんと話す前は、ワークショップで作った素材をもとに、寺内くんが合唱曲を作る、鶴見さんが吹奏楽曲をつくる、坂野さんがギターアンサンブルを作る、というようなイメージでした。しかし、もっとラディカルに、ワークショップを素材に、寺内くんが作る作品があって、それを素材にして、鶴見さんが作る作品があり、それを素材に、片岡さんがワークショップをして、それを素材に坂野さんが作曲する曲がある、というような連鎖を作っていってもいいかも、と思えてきました。