野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ふがいない戦士達

今日は、鍵ハモトリオ、鍵ハモカルテットのリハーサルです。共演するのは、2月の平石博一のコンサート、9月の水戸芸術館でのコンサートでP−ブロッとジョイントし、水戸芸術館では、ワークショップアシスタントもしていただいた赤羽美希さん、正木恵子さん、渡邊達弘さんの3人です。

彼らの活動に関するインタビューが、以下で読めます。
http://www.asahibeer.co.jp/enjoy/hapiken/interview/

さて、鍵盤ハーモニカのために野村が委嘱して、世界各地の作曲家が新作を書いてくれています。

まずは、1997年にインドネシアの作曲家(ロンドン在住)Soe Tjen Marchingが作曲した「The Bear's Company for Grace & Cindy」を練習。この曲は、本当に面白いです。独特の怪しいリズムで、非常にユニークな作品。

それから、2007年に関西在住の作曲家、近藤浩平さんが書いた「ふがいない戦士達」。これが、変拍子の曲で、「第1曲 楽器を持った戦士達の入場」(1分30秒)、第2曲「敵を見失った戦士達の踊り」(40秒)という小品です。これは、本当に作曲家が楽しんで曲を書いているのが伝わってきて、こういう譜面を見ていると、練習も楽しいけど、ぼくも作曲したい、という気持ちになりました。11月16日が世界初演になります。

それから、2003年に名古屋在住の作曲家、坂野嘉彦さんが書いた「わたしとあなたの体操詩集」を練習。これは5分程度の4重奏をと委嘱したら、7分くらいの力作が届き、本当に力作なのですが、演奏するぼくらの力量がまだまだ未熟なので、大変です。坂野さんの委嘱の経験を経て、それ以降は、ぼくは3分程度の3重奏を委嘱するようになりました。まずは、小品を集めようと思ったのです。11月16日は、関東初演になります。

それから、1999年に野村誠が作曲した「FとI」も練習。これは、正木さんが是非やってみたいというリクエストがあったので(正木さんは、アコーディオンの大田智美さんの演奏会でもこの曲を聞いていたりするので、そのことも今日の演奏には少なからず影響があるように感じました)。

それから、2008年に広島在住の作曲家、寺内大輔さんが書いた「林道」を練習。これは、第1鍵ハモがBPM=69、第2鍵ハモがBPM=60、第3奏者がBPM=54という違ったテンポで演奏する曲です。各自が心の中で違ったメトロノームを鳴らしながら演奏するところがポイント。この曲は野村+正木+渡邊で演奏するので、赤羽さんに聴いた感想を求めると、演奏する度に違った印象で、「反応のいい即興演奏のよう」に聞こえることもあれば、「緻密に計算された音楽」のように聞こえる時もあるそうです。「林道」というタイトルですし、歩く度に林の風景が違って見えるように、この曲の印象も、毎回変わるのかもしれません。もちろん、11月16日は世界初演です。

ということで、今日の練習は、ここまで。明日、さらに、以下の曲も練習します。

2006年に東京在住の作曲家、鶴見幸代さんが書いた「おほほ」、2007年に金沢在住の作曲家、田中吉史さんが書いた「うろおぼえの旋律とコラール」、2008年にオーストラリア在住の作曲家、David Kotlowyが書いた「Cloud Patterns」を練習します。

ちなみに鶴見幸代さんのインタビューが、以下で読めます。
http://www.mitoshin.co.jp/jyohoshi/index.html

11月16日のコンサートは、入場無料投げ銭です。是非、お越し下さい。

プログラム予定

第1部 それぞれの演奏

1 野村による 鍵ハモソロのインプロ
2 赤羽さん+正木さん+渡邊さによる演奏で 赤羽美希作曲「IWKKN」

第2部 3分の鍵ハモトリオ新作5作品

1 寺内大輔 「林道」
2 近藤浩平 「ふがいない戦士達」
3 田中吉史 「うろおぼえの旋律とコラール」
4 David Kotlowy 「Cloud Patterns」
5 鶴見幸代 「おほほ」

休憩

第3部 4重奏を中心に

Soe Tjen Marching 「The Bear's Company」
2 坂野嘉彦 「わたしとあなたの体操詩集」
3 野村誠 「FとI」

こんな感じだと思います。

ぜひ、おこしください。