野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぼくが8歳のころ

エイちゃんは8歳です。ぼくが8歳のころ、ぼくのピアノの先生の山田誠津子先生(数ヵ月後に遠藤誠津子先生になりました)は、8歳のぼくに向かって、現代音楽について語ってくれました。現代音楽というものが如何に面白いか。現代音楽が難解になってしまって、聴衆が離れていっていること。そうした状況を打破するためにどうしたらいいかが課題であること。そんなことを、8歳のぼくに向かって語ってくれたのです。ぼくは、現代音楽を聴いたこともなければ、中学生くらいになるまで、現代音楽を聴くこともなく育ちました。でも、あの時に、先生が子どもであるぼくを子ども扱いせずに、自分が抱えている悩みを、相談してくれたことが、本当に嬉しかった。そして、ぼくは現代音楽が何なのか知らずに、自分で勝手に現代音楽の作曲を始めることになるのです。全音音階を知らずに、自分で全音音階を発見したり、ジョン・ケージを知らずに、ルーレットを回して作曲したり、お経を読みながらピアノで即興演奏をしたり、様々な試みを小学校時代にやりました。ああ、懐かしい。