野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

雑用終わり

教育音楽の原稿は、えずこホールでの体験を下敷きに音楽劇を作るで書いて、カールに頼まれてた和訳をやって、これで雑用が終わって、明日から作曲に専念できそうです。
「あいのて」が一段落したと思ったのに、大詰めになってくると初心を忘れそうになってくる。結構手間どりそう。作曲に専念したいのに!余計な雑事が増えては困るけど、番組が最低になるのは、もっと困る。

作品を作るとき、最後の最後でまとめなくっちゃと、必要のないところでまとめてしまったり、大切な部分を捨ててしまったりすることが、本当によくある。これだけは避けなくてはいけない。「あいのて」という番組で言えば、

1 生活の中の音がまず最初にあって
2 その音の魅力が一番はっきり伝わるような音楽をつくって
3 その音楽の魅力が一番効果的に伝わるような演出をする

という順序のはずで、ここだけは、常に意識している必要がある。
音を生かすための演出をしなければならない。
演出に合わせて、音や音楽を考えるのは、従来のテレビの発想で、それは本末転倒。
このことをきちんと考えないと、どこにでもあるつまらない番組に成り下がる。10月、11月に最初にスタッフミーティングで雑談した時に、

音という聴覚のものを、テレビというメディアで伝えるにはどうしたらいいか?

という問いをきちんと考えた。そこの土台が揺らぐと、番組が根底から揺らぐ。それではダメ。この番組は、何をしようとして始めたのか?そこがはっきりしていれば、年間通して、しっかり主張ができるし、1年たった後、この番組の2年目、3年目の展開もあり得るし、何年も時間が経っていく中で、番組は着実に評価を得ていくはずだ。そこには、哲学があるから。それが揺らいでしまったら、小手先だけの目先だけの番組になってしまう。それでは、数年後には人々の記憶から消えてしまうだろう。

ということで、今、この番組の土台をきちんとするために、もうちょっとコミュニケーションが必要になるだろうなぁ。