野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

現代音楽ブーム

代々木上原にある現代音楽の楽譜専門出版社マザーアースへ。

駅から徒歩一分にある事務所は、外から見ると、普通の家じゃん、って思った。呼び鈴を鳴らすと、小学生らしき男の子が出てきて、ドアを開けてくれる。ますます、普通の家を訪ねたと勘違いしてしまいそうだけど、中に入ったらパソコンと机に楽譜にダイレクトメールに書類が所狭しと並んでいる上、数名のスタッフが、机に向かっていかにも仕事しています、といった感じでいた。

そこには、作曲家の鶴見幸代さんを始め、作曲家やらサックス吹きやらがスタッフとして働いてた。鶴見さんから、鶴見作品の鍵ハモデュオのアレンジ譜もらっちゃった。

で、今日はここの社長さんで、ドアを開けてくれたT君のお母さんで、箏の演奏家という3役をこなす橘さんが、ぼくの箏曲「りす」の練習をみて欲しいということで、初めてマザーアースを訪れた。橘さんは、近々、マザーアースから出版されている曲をいろいろ録音しようと考えている。

練習を聞かせてもらった。この曲は演奏者が調絃を決められる曲だけど、なんとも言えない響きを作ってくれていた。最初まだ輪郭がぼんやりしていた曲が、すごくくっきり面白みのある演奏になった。満足。今度、ここでこの曲のレクチャーしたら面白いな、って思いついたので、春くらいにはやることになりそうです。

息子のT君は、「りす」の練習を聴いて知っているようで、あの曲は発想がいい、とほめてくれた。パニックとか題名もいいよ、って言ってたので、どの作曲家にどんな作品があるのか、覚えているみたい。彼は、この会社の仕事を随分いろいろ手伝っているみたいで、現代音楽にもかなり精通しているみたいだった。そこで、どの曲がお勧めなの?と聞いてみた。この曲が面白いとか、きれいとか、いろいろ推薦して見本楽譜を見せてくれた。いろんな楽譜を眺めました。

練習が終わった後、用もないのに、ぼくは3時間くらい事務所にいた。働く鶴見さんに話し相手になってもらったり。でも、受験勉強中のT君は、全く勉強が進まず、ずっとぼくの相手をしてくれた。

そうやって時間をつぶしているうちに、現代音楽ブームという言葉を思いついた。もうすぐ現代音楽ブームが来る。それで、口に出してみた。現代音楽ブーム。

よしよし。これから現代音楽ブーム始めよう。お笑いブームとか、ボウリングブームとかみたいに、現代音楽ブームだってあってもいいな。