野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

裸のハイドン

明日の小川和代ヴァイオリンリサイタルに向けて、リハーサルに立ち会いに行く。チケットが完売間近で、残り数枚となっているらしい。

 

ぼくが行く前に、既に、鶴見幸代作品、樅山智子作品のリハーサルは終わっていた。ぼくの新曲「土俵にあがる15の変奏曲」のリハーサル。ぼくだけが意見を言うのではなく、鶴見親方、樅山親方にも助言をもらう。高砂部屋を見学した時に、高砂親方が寡黙であまり何も言わない間に、若松親方が次々に叱咤激励していた様子を思い出す。

 

小川さんは、クラシックのヴァイオリニストで、決して現代音楽の専門ではない。なのに、ぼくらの無理難題な注文(それは時に相撲の動きだったり、気迫だったり、「待った」の仕方だったり、軍配の構え方だったりする)に、応えてくれる。本当に熱の入ったいい稽古だった。そして、演奏がますます練り上げられて、よくなった。

 

夜は、アートエリアB1に移動し、「ハイドン大學」。ハイドンと相撲の共通点や類似点について、鶴見幸代と熱く語り合った。ハダカの表現について。シンプルな作曲について。あっさりした終わり方と多作について。ぼくは、ハイドンの楽譜を読んで、随分と反省し、ここ数年で以前よりも多作になった。鶴見さんは、別の意味で反省したそうだ。チャイコフスキードビュッシーメシアンも、相撲で解説できることが判明した。鶴見幸代のラジオ番組やってほしい。明日のコンサートでは、ベートーヴェンも相撲になるのかもしれない。