野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

パパとママ

箏の曲について。アルファベットは26文字、箏の弦は13弦なので、各弦に2文字ずつ対応させると、言葉から箏の曲が作れる。ちなみに、トランプも1〜Kまで13枚単位なので、箏と対応させることができる。調弦を決めれば、音列が決まるし、決めなければ色んな音楽になる可能性がある。そこで、市川慎とか、菊地奈緒子を箏の曲に変換してみる。この箏曲家の夫婦には1歳半の娘さんがいる。曲のテーマは「パパとママ」に関するものにしよう、と思い始める。
京都女子大の教え子が、いろいろ相談にやってきた。でも、話を聞いていたら「相談に来るってことは、もう自分の中で決めてきてるんです」と言う。だから、結局、話を聞いていることが大切だったみたい。
大学の先生をしていたときに感じたこと。当たり前だけど、学生が『自分で選択する』、『自分で決定する』ってこと。同じ結論に至ったとしても、「先生に言われたから、こうした」と先生の意見に流されたり、従ったり、押し付けられたり、という感覚が残るのと、「自分で判断して決めた」ことをするのでは、後々、違ってくると思う。そう考えると、先生のする仕事というのは、
学生にいろんな可能性を提示すること
学生が判断できるために多くの情報を与えること
学生が判断するまで待つこと
学生が判断するための議論に付き合うこと
が、基本だと思う。その上で、「学生に自分の価値観を押し付けない」ことに注意しながら、自分なりの考えや価値観を伝えること。かな、と改めて思った。で、そのことを、要するに「一緒にいるだけ」とぼくは昨年12月あたりの日記で表現していた。
ぼくの教え子から聞いた言葉。
「最近、(子どもの)お母さんたちに言うんですよ。失敗しない子どもに育てるんじゃなくって、失敗してもそこから立ち直れる子どもに育てて下さい、って。」
「失敗は成功のもと」ってことわざあるけど、失敗を否定しちゃうと、生きてるの大変になるし、ぼくも失敗が大好きで、失敗することに喜びを持つようになった。そんな風に育ててくれた人々に感謝。