野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

カフェトーク

2年前に美術家の川俣正さんと行った対談の記録冊子が送られてきた。懐かしく久しぶりに読んでみた。川俣さんの提案で、しょうぎ作曲みたいに、しょうぎトークをしてみようと、会場の人全員(23人)に順番に一言ずつ言ってもらうのを延々と続けた部分を、あらためて文字にして読んでみると、かなり凝った戯曲を読んでいるような錯角に陥るくらい、面白く読めた。
その後、川俣さんから、「参加型アートプログラムのルールの強要について」どう思うか?「観客は不要で参加者だけが必要なのではないか?」、「野村誠の音楽の泣かせる部分について」どうなのか?そもそも、子どもも老人も泣かせる存在だが、、、「野村誠は戦略的だと思う」などなど、川俣さんの質問の切り口が興味深い。多分、川俣さん自身が活動していて疑問に思っていることを、そのまま野村誠の問題として質問してきているから、だろう。
「野村君はあまり偉くなっちゃいけない(会場:笑)。あまり一般化しちゃまずい(笑)。」
「例えばどんどんいろいろなところへ出て、いろんなところから話が来て、展覧会があったりパフォーマンスがあったりという、活動そのものは問題はないと思うけれども、それがプレステージになっちゃって、野村誠の一つのかたちのようになっちゃうと違うんじゃないかなと。」
と発言した川俣さんは、当時東京芸大の教授だったので、この冊子(4冊だけ作ったらしい)は、1冊は芸大の先端学科のアーカイブに保管、1冊は川俣さんが保管、残りの2冊がぼくの手元に送られてきた。

この冊子ができあがるのに2年かかったわけだけど、残すことにはやっぱり意味があると思う。この前のシンポジウムをどうやって残していくか、考えていきたい。

エイブルアート・オンステージのコラボ・シアター・フェスティバルに関して、8月3〜7日の日記に加筆したので、また、読んでみてご意見などお聞かせ下さい。

作曲は進まない。暑いから。