野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

肥後琵琶リサーチ/畑作業

PCR検査の結果は陰性で、週末の水戸でのワークショップとコンサートに参加できることになった。

 

不知火美術館の里村真理さんが、肥後琵琶のリサーチをしていて、本日、肥後琵琶の方、筑前琵琶の方からお話が伺えるとのことで、興味があるので、同行させていただく。

 

www.youtube.com

 

琵琶と言えば、2005年に《ホエールトーン・オペラ》に参加していただいた薩摩琵琶の長須与佳さん、2年前、世界のしょうない音楽ワークショップでご一緒した筑前琵琶の奏者の川村旭芳さんと、琵琶との接点は少しはある。でも肥後琵琶というのは、未経験だった。

 

長須与佳 Official Web Site

 

筑前琵琶奏者・川村旭芳オフィシャルサイト

 

肥後琵琶を継承されている後藤昭子さん、岩下小太郎さん、筑前琵琶をされている方の3名からヒアリング。実演も交えていただき、肥後琵琶の独特さを思い知る。楽器も5弦ではなく4弦で、三味線とそっくりの調弦(3本目と4本目が同じ音に調弦なので、実質三味線と同じ)。現在作曲中の塔本シスコのための新曲に、肥後琵琶のエッセンスを盛り込みたいと思った。シスコさんも琵琶が好きだったそうなので。

 

梅雨に向けて、里村さんと畑作業。雑草取りやポールをいっぱい立てたり。

PCR検査/シスコ周辺でフィールドレコーディング

今週末は水戸芸術館でワークショップ。PCR検査キットが届き、例によって唾液をいっぱい出して、三重包装して、郵送。2年経ったし、ワクチンも打ったけど、相変わらずコロナ時代を生きているなぁ。でも、ワークショップもコンサートもできるのは、本当にありがたい。、

 

滋賀県立美術館の塔本シスコ展に向けて、ピアノ曲を作曲中。《ウマイレガワ》という絵を見て、音楽を作っている。せっかくシスコが子ども時代を過ごしたエリアに暮らしているのだから、行ってみよう。自転車で、シスコの古里の家の近辺で環境音を録音する。鳥の鳴き声などの自然音もすごいのだが、幹線道路の自動車の音がすごい。たまに走る新幹線もすごい。ということで、交通量の多い道路から離れて、、大野川河川敷を歩いて録音していく。さえぎる壁がないと遠くまで自動車の低音はよく響くなぁ。

 

 

 

 

ガチャ・コン音楽祭Vol.2/ウマイレガワ作曲中/曲野阿蘇神社の相撲

びわ湖・アーティスツ・みんぐる2022ガチャ・コン音楽祭Vol.2』の打ち合わせ。既に、"ぐるぐる”の募集を開始していて、6月19日に日野駅でキックオフイベントを開催。7、8、9月の情報も公開に。

biwako-arts.or.jp

そして、10月23日にツアーライブを行う計画をしていて、今日はぼくが作った素案に基づいて、財団の福本さん、山元さん、コーディネーターの永尾さん、野田さんと検討。ぼくの素案は、予算的にもプログラム的にも「てんこ盛り」になっているので、ここから実現に向けて整理していく作業。みなさんの建設的なご提案やご意見を浴びて、現実的になると同時に、コンセプトも明快になりつつある。

 

本日も、滋賀県立美術館での塔本シスコ展に向けての作曲に取り組む。《ウマイレガワ》という一つの絵だけから、色々な音楽が立ち上がってくる。

 

昨日から土砂降りだったが、午後には雨があがる。畑の野菜たちが風雨で半ば倒れていたり、よろけていたりする。土寄せをして、しっかり立てるように補強する。自転車でやや遠出をして買い物に行く際に、できるだけ交通量の少ない裏道を通るようにしている。たまたま通りかかった曲野阿蘇神社に参拝。すると、境内に土俵があり4本柱があった。期せずして、相撲リサーチ。

 

ameblo.jp

 

吉野さつきさんと打ち合わせ。コロナで延期が続いているスコットランドのジェーンとのプロジェクトの件。

 

 

 

ウマイレガワ作曲中/打ち上げのち会議/雅楽のコスモロジー

塔本シスコ展に向けての作曲。《ウマイレガワ》に取り組んでいて、一日中絵を眺めている。昨日は歌詞をもとに考えていたが、絵を見ているうちに、12羽いるアヒルの目の位置だけを音符だと思って弾いてみる。こういうことをすると、シスコの絵を細部まで見るようになる。続いて、4頭いる馬の目の位置を音符だと思って弾いてみる。これまた面白い。背後に走る汽車に触発されて出てきたリズミカルなフレーズを弾いているうちに、4人の女の子の動きが躍動的な踊りに見えてくる。演奏しながら弾くと、今まで以上に絵が語り出す。

 

不知火美術館でのKOSUGE1-16の打ち上げにお招きを受ける。美術館の里村さん、アーティストの土谷さんに加えて、設営チームの方々とも交流できた。宇城市在住のゼンさんはミュージシャンでもあるらしく、福岡から来られたミヤタさんは以前、福岡トリエンナーレの時にお世話になったご縁もあったとのこと。九州の方々と繋がりが増えていくのは嬉しい。

 

香港のi-dArtからオンラインワークショップのお誘いを受けているので、その件について、問題行動トリオのミーティング。上記の打ち上げに急に参加したので、こちらの打ち合わせに大遅刻。失礼しました。本当は対面でやりたかったけど、コロナが続くし、リモートで。

 

小野真龍著『雅楽コスモロジー ー日本宗教式楽の精神史』読了。これが、めちゃくちゃ面白かった。大陸から伝来した文化として、この10年くらいは、相撲、瓦を中心に調べていた。奈良時代平安時代相撲節会として儀式だった時の相撲から、時代とともに変化し続けて、現代の大相撲がある。それに比べると、雅楽平安時代から、ずっと朝廷で行われてきた。だから、相撲と雅楽の継承の仕方をぼくは対比して考えていた。ところが、この本を読むと、時代と共に雅楽は変化してきたことが理解できる。相撲ほどの大きな変化はないとしても、明治時代に相撲が国技となったような極めて近代的な演出は、雅楽にも無縁だったわけでないことがよく分かる。大阪の四天王寺聖霊会に関わりがある著者が、明治以降に排斥された仏教における雅楽神仏習合としての雅楽の宇宙について、想像力が掻き立てられる本だった。

 

honto.jp

 

石清水八幡宮最大の行事であった石清水放生会(1433)について、

 

新楽、高麗楽、林邑楽などの各種舞楽が続き、神主祝詞・公家十列・御馬曳立・大行道・導師呪願礼仏・導師表白・相撲十七番などがあり、夜に入って神輿還御となります。(p.176)

 

という説明があり、相撲十七番かぁ、(1174年が最後の)相撲節会と同じで、びっくりする。260年経って、相撲十七番は、別の形で残っていたのかぁ。

 

 

 

 

 

 

1000自転車の音楽/ガチャ・コン音楽祭

フィリピンのダヤンと千住のコタローくんとzoomミーティング。ダヤンとは、これまで京都、マニラ、香港などで会ってきたが、2020年にComposite by the Numbersというプロジェクトに誘ってもらい、《Chant for Sleep》という曲を作った。

 

compositebythenumbers.com

 

昨年は、Music by 1000 bicyclesというプロジェクトに誘ってもらい、ピアノ、ケンハモ、虫の鳴き声、瓦などの4つのトラックを送った。これらの音源を同時に別々の自転車に装着されたスマホやポータブルスピーカーで再生する予定。

 

compositenoises.dayangyraola.com

 

プロジェクトは合計で1000人の人が自転車で参加した時点で完了するが、既に100人に達しているそうで、残り900人。今月ドイツのハンブルグでも実施するとのこと。コロナで室内で密集するプロジェクトが行いにくい現状があるので、逆に言えば、今まで以上に屋外の試みに取り組みやすい。追い風を感じる。千住でどんな可能性があるのか、今日はアイディアを交換しあった。コタローくんは博士課程を修了し東京芸大で働いているが、ダヤンも博士課程を修了しフィリピン大学で働いている。ぼくは、大学の部外者だけれども、海外に出て行きにくい時代に学生生活を送っている現在の学生たちが、ぼくのプロジェクトを通して、インターナショナルにつながれたら素敵だな、と夢想する。

 

色々、宿題を抱え込んでいるので、一つずつ見通しを立てている。今朝は、『ガチャ・コン音楽祭』の今年度のツアーライブの企画素案を作成。ちなみに、「ガチャ・コン音楽祭」の”ぐるぐる”メンバー募集中。詳細はこちら。

 

biwako-arts.or.jp

 

今月から、香港のCCCDのオンライン音楽ワークショップのファシリテーターをしたり、オンラインコンサートもするので、その関連の打ち合わせ。

 

25絃のための新曲《編む 継ぐ む》は、80%くらい仕上がり、見通しが立ったのと、今月末〆切なので、4週間かけて熟成させながら推敲していこうと思う。というのも、滋賀県立美術館での塔本シスコ展に向けての新曲の作曲も今月中に見通しを立てたいので、明日から、塔本シスコの方に取り組もうと思う。

 

父の誕生日。電話をしたが元気そうだった。

 

 

 

 

 

野菜の収穫/塔本シスコとピアノ/みかん杯final

畑で育てている野菜の収穫が徐々に始まっている。キュウリもできたし、とうもろこしのヤングコーンも美味しかった。ししとうの初収穫もできた。他の野菜も順調に育っている。隣の畑をやっているおじさんとお話すると、せっかく実をつけてこれからトマトが食べ頃という時に梅雨になって、ダメになるんだ、と言う。緑色のトマトが赤くなってきた頃には、梅雨入りかもしれない。なんとか、無事に食べたい。

 

滋賀県立美術館での塔本シスコ展(7月9日ー)に向けて、作曲。とりあえず、塔本シスコ展のカタログを見ながらピアノを弾く。そのうち、塔本シスコの画面(など)に書かれた言葉を歌ってみたくなって、歌ってみる。《ふるさとの海》と《ウマイレガワ》の2つをスケッチする。

 

不知火美術館でのKOSUGE1-16の展覧会も今日が最終日。

 

www.museum-library-uki.jp

 

「みかん杯final」が開催され、決勝戦で演奏することに。前回、子どもたちが楽器を演奏したがったので、今回は貸出用の楽器も色々持っていった。途中で、宇城市在住のサッカー選手(巻誠一郎さん)がサプライズゲストとして登場し、エキシビジョンマッチや実況解説。(ぼくも、宇城市在住のゲストとしてエキシビジョンマッチで演奏したが、宮崎とか松山とか来られたアート関係者にとってはサプライズだったろうが、地元の方々にとっては、サプライズでもなんでもなかっただろう)。

 

巻誠一郎OfficialHomepage

 

勝戦では、楽器を配って演奏して自由に応援演奏をしてもらった。週末に自宅で過ごせるのも今週末が最後。来週以降の週末は、ほとんど遠征(来週末=水戸、来来週末=滋賀、その次=自宅、その次=東京、新潟、兵庫、その次=福岡、その次=滋賀、その次=京都、その次=愛知、その次=滋賀)。家にいられるうちに、家事を満喫しよう。

 

 

 

 

写真家が見た水俣/日本の梵鐘/ヘアカット

3ヶ月以上髪を切っていない。熊本は夏のように暑い。髪を切りたい。里村さんがいつも行っている熊本市内の美容院に行くというので、同じ美容院に行ってみることに。

 

途中、熊本日日新聞の新聞博物館で行われている「9人の写真家が見た水俣」に立ち寄る。熊本県に住むことで、同じ県内に水俣があるため、日々水俣病のこと、水俣のことを意識して暮らすことになっている。写真は水俣病患者を写すだけでなく、漁師の暮らし、水俣の風景、反対運動の実際、対応する政治家の表情やチッソの社長や幹部など、様々。写真家によっては、撮った時の心境などがコメントで書かれているものもある。水俣病が発症し始めた頃、水俣市民の多くがチッソという会社の関係者で、漁師の数は非常に少なく、税収もチッソからの収入が大半を占めていたという。漁師はマイノリティで、さらには発症した患者はマジョリティの中に埋もれてしまいかねないマイノリティだった。マイノリティの声をなかったことにしようとする企業、政治家、メディア、市民。それに対して、マイノリティの声を届けようとする草の根運動、ジャーナリスト。その中で写真の担った役割も決して小さくない。そして、60年前には日本各地に当たり前にあった漁村の生活も、水俣だったために写真に残されている。

 

kumanichi.com

 

熊本県立図書館に行って、本を返却し、本を借りる。『日本の梵鐘』という定価27,500円という本は、さすがに買えないので、今回、図書館で借りた。『ガチャ・コン音楽祭』に向けての梵鐘の研究に必須の本。

 

www.yoshikawa-k.co.jp

 

その後はヘアカット。美容師さんに色々質問する。ハサミは定期的に研いでいて、研いですぐの時は、切れ味が抜群すぎるので緊張するとか、ハサミは個人持ちで20万円するとか、興味深い。音楽家が個人持ちで高価な楽器を持っていて、メンテナンスしていることなどと決して遠くない。ぼくの頭の形と、それに対して、髪をどう切ったらいいか、などについても興味深い話をいっぱい聞いた。(頭のてっぺんが平たいので、上はつぶれないようにする。頭の横は出っぱっているので、こちらはつぶし気味にする、など)。勉強になる。