野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヘリ・ドノ

里村さんが仕事が休みなので、博多方面にお出かけ。

 

九州芸文館で開催中のヘリ・ドノ個展を見る。1990年代にポストカードでやりとりをしたことがあるヘリ・ドノは、インドネシアジョグジャカルタ現代美術家だが、実際に会ったことは(多分)ない。《ワヤン桃太郎》という作品もあり、以前ガムラングループのマルガサリと全5幕の楽舞劇《桃太郎》を作ったものとしては、興味深く見る。

 

artscape.jp

 

その後、里村さんは、アーティストカフェフクオカで開催のトーク『キュレーションとはなにか』に行き、ぼくは福岡アジア美術館で開催のヘリ・ドノを囲んでのトークイベントを聞きに行く。

artistcafe.jp

 

www.ffac.or.jp

 

60席用意されている座席は満席で、立ち見が多数いる盛況ぶり。多民族/多宗教のインドネシアで自覚的に多文化主義で創作を行うヘリ・ドノの活動は、非常に的確に批評的だが、ユーモラスで寛容さを持つから、様々な層に響く表現となっている。作曲家の藤枝守さんや、ガムラン奏者の村上圭子さん、アートコーディネーターの宮本初音さん、アジア美術館の中尾さんや蒲池さん、福岡市美の山口さん、などなど、いろいろな人と再会。ヘリ・ドノとも色々喋った。

 

コロナ禍で「歌」が困難な時代を経て、「歌」についていっぱい考えた。だじゃれ音楽の「千住の1010人」と「オペラ双葉山」に向けて、肥後琵琶を始め、語り(歌)について肥後琵琶から考えていこうと思っていた矢先、ワヤンのことを考える。琵琶の語りとワヤンのダラン(人形使い)の語りは、当然いっぱい共通することも多く、肥後琵琶を探求することが、ワヤンに向き合うことにもなるな、と思った。

 

行き帰りの道中で、里村さんと3月31日の熊本市現代美術館でのワークショップの打ち合わせをする。現在開催中のミュシャ展に絡めて、ミュシャの絵をミュージシャンとモシャしてミュージックをつくるようなワークショップかな。