熊本のアーケイド街で行われる同時多発ライブイベントStreet Art-plex(以下 Sap)に田島隆くんと出演。タンバリン博士として知られる田島隆さんと出会ったのは、お互いが20代前半だった1990年。ダンサーの山下残くん、トランペットで藤本由紀夫さんのもとでサウンドアートを学ぶ安井献くん、そしてギターでDTMで作曲していた田島くんの3人によるバンドThe Nightsでだった。京都精華大学の木野祭で演奏を見たのが最初で、最後の共演は1994年の京大西部講堂での演劇公演『大温室』の音楽をぼくが担当した時に30人くらいで演奏した演奏メンバーの一人として出演してもらった時。つまり30年ぶりの共演である。
30年ぶりなので、実はお互いのその間の活動は全く体験していないので、ネットにある情報などで想像する程度である。しかし、Sapのプロデューサーの坂口美由紀さんからの説明を聞き、どうやらSapのExtravaganzaというイベントの趣旨が、ジャンルにカテゴライズされない様々な驚きをストリートで展開することだと知り、だったら田島くんだろうとお誘いしたが、これが想像を絶する素晴らしさだった。
タンバリンでどれだけ超絶技巧と言っても、所詮タンバリンだろう、と人は思う。タンバリンを追求して極めるといって想像できる範囲というのは、そこまで大きくない。しかし、田島くんの演奏を聴くと、目から鱗、耳から鱗が何十枚と落ちる。えーーーーーっ!どこから、そんな音が出るの?意味不明、理解不能、信じられない。でも、それが現実なのだ。30年間に何があったのか、その経路は知らないけれども、その間に田島隆はたどり着いた世界がある。音楽には、誰もが見過ごす抜け道や裏道がある。タンバリンを掘り下げても、すぐに行き止まりや袋小路に入ると思うから、それ以上は掘り下げない。掘り下げても、少々裏道に入り込むくらいで、極限までやったと思う。しかし、裏道も抜け道も行き尽くして、もう道がないと思ったところからがスタートなのだ。道もないし、ここは進めないだろうと誰もが思う場所に、無理矢理に穴をこじ開け進んでいった先に別世界がある。その別世界にいきなり連れていってもらった。驚愕である。
ぼくは、ピアノと鍵盤ハーモニカの二刀流で臨んだが、田島くんはタジバリン1個だけでやって来た。たった1個のタジバリンと野村の二人で、時には3人や4人で演奏しているようなサウンドにもなり、時には非常に繊細な音色になり、ページを次々にめくっていくように、音の世界が目眩く展開していった。あまりに息が合っているので30年ぶりの共演だと思った人は皆無で、かなり頻繁にデュオでやっていると勘違いされた。でも30年ぶり。次回が30年ぶりでは待ちきれないので、もっと共演を続けていきたい。
イベントには、鈴木潤さんや北口大輔くんや伊左治直くんとボサノバで何度も共演していた犬塚彩子さんも出演していて20年ぶりくらいに再会したり、P-ブロッのしばてつさんが出演していて、ケンハモセッションがあったり、京都の舞踏家の袋坂ヤスオさんも出演していて、セッションでご一緒したり。袋坂さんのパートナーで元P- ブロッの小松紀子さんなど、色々な再会もあり、同窓会のような気分もあったが、一方で新しい出会い(主催者でかつサックスの葉山さん、長身のパーカッショニストMAYAさんほか、、、、)も色々あり、、、、。
3月31日には、熊本市現代美術館でもワークショップもあるので、熊本市でも色々活動が増えて嬉しい。