野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

宇陀と山鹿/肥後琵琶とアートラボマーケット/当事者は嘘をつく

里村さんの友人のヨーコさんが、全国芝居小屋会議に参加するために、奈良県の宇陀から熊本県の山鹿に来ていて、山鹿まで会いに行くというので同行した。山鹿は有名な芝居小屋の八千代座がある。

 

昨夜は、八千代座にOKIとかサヨコオトナラとか、色々なバンドが出演するライブもあったらしい。サヨコオトナラと以前一緒になったのはいつだったか、全然思い出せないが遥かに昔だ。

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ヨーコさんは、宇陀の町で続いているセンギョとか言う伝統行事が久しぶりに開催できたことを里村さんに報告していた。楽しいランチ。共通の知人などもいて、楽しく会話。

 

ヨーコさんと別れて後、灯籠博物館に行ったり、不動岩という巨石を見に行ったり、カフェに行ったりした。ぼくは、肥後琵琶を始めることの見通しを語り、里村さんは熊本市現代美術館のアートラボマーケットでのプロジェクトの構想を語る。

 

小松原織香『当事者は嘘をつく』(筑摩書房)、読了。体験談のような小説のような本。ノンフィクションのようで、フィクションのようで、リアルでありながら、冷静に語られ、適度な距離感を持って、読者に語りかけてくる。性被害の当事者の体験談のように始まり、当事者が加害者と対話を交わすことや赦しに関しての様々な考えが行き交う。気がつくと、そのことに研究者として、どう立ち向かうかの話になったのに、気がつくと水俣を研究することで、立ち位置が当事者でなくなっていく。それが、全て真実なのか真実でないのかは、当然読み手には分からないし、分からなくてよいが、この本の物語は、非常にリアルに勇気づけてくれる文章である。コミュニケーションに対して絶望せず、伝えようともがく心を放射してくれる本だ。それは、ハラスメントのこと、戦争のこと、政治のこと、社会のこと、色々なことにつながっていくけども、勇気づけられる本。誰しもが読むと、自分の鏡になり得る美しい本。

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