野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

『シスコとあそぶ シスコラボ』with荒井良二

宇城市不知火美術館では、4月15日〜6月15日に、塔本シスコを中心にした展覧会を開催する。その中で『シスコとあそぶ シスコラボ』という企画で、荒井良二さん、itiitiさん、野村誠などが市民を巻き込みながらシスコと遊ぶ。企画は、学芸員の里村真理さん。本日より2泊3日で荒井さんが宇城市に滞在し、『シスコじゃあにぃ・ウキウキ』を行う。

 

熊本空港まで里村さんとお迎えに行き、荒井さんと再会。昨年6月に水戸芸術館でのワークショップでご一緒して以来なので、約1年ぶり。本日は、PLAY FARMで荒井さんと野村による即興セッションを撮影。美術館から館長の成松さん、美術館・図書館の木村さんも来て、昨年のKOSUGE1-16の展示の時にインストーラーとして大活躍だったゼンさんも駆けつけてくださり、『表現は日常にこだまする』の撮影をしていただいた松田さんチームが撮影で来ている。PLAY FRAMの野村さんが焚き火をして暖をとってくれる。今日の最高気温は昨日より10度低いらしい。天気は快晴。

 

荒井さんは、とてもとても自由な精神の持ち主で、絵を描くということに向き合い続けてきたアーティストで、絵本も描くし、ワークショップもするし、歌も歌うし、陶芸もするし、表現の形態も色々で、即興性も抜群に高い。空港から松橋の田園風景の中に着地して、PLAY FARMに到着した荒井さんは、瞬時に環境を理解し始めて、気がつくと、綱引きの絵を描き始めていた。ぼくも楽器を演奏し始めていた。絵と音楽で綱引きしているようだった。荒井良二が絵を描いているというのは、すごいエネルギーを発するので、気がつくと、ぼくは荒井さんの絵の世界に引きずられていく。影響を受けるのはいいけど、もっと音に集中しないといけない、と思い、音の世界に引っ張り返す。目に見える綱はないけど、綱を引っ張り合っているような感じでもあった。荒井さんが絵を描く時に発する音に反応して音を出す時もあったし、太鼓を叩くことに集中して絵のことを忘れることもあったし、木々や風や大地に向けて音を発する時もあったし、「シスコじゃあにぃ・ウキウキ」という言葉がメロディーに変わっていったりもしたし、荒井さんが絵を描きながら言う独り言に歌で合いの手を入れたりもした。気がつくと2時間半ほどの時間が経って、太陽が西の水平線に沈んで行った。荒井さんは傾斜のあるところや階段など、絵を描くのに適していない場を楽しんで、そして、本当に美しい絵が生まれてきていた。

 

その後、荒井さん、里村さん、ゼンさんと、明日のワークショップについて話し合った。それとは別件で、荒井さんの展覧会場で流す音楽を作曲することにもなり、そちらの打ち合わせも始まった。荒井良二とのワクワクする3日間が始まった。

 

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