野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

東アジア鍵盤同盟『イマノマイ』リリース

鈴木潤さんとのアルバム『イマノマイ』をリリース。こちらで聴けます。

 

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以下、説明文。要約すると、「二人が楽器で好き放題遊んでアルバム作りました」
 
「東アジア鍵盤同盟」は、二人の鍵盤奏者(鈴木潤野村誠)が2022年に結成した鍵盤デュオ。1987年の二人の初セッション以来35年の月日を経て、ようやくユニットを結成し、初アルバム『イマノマイ』のリリースに到った。
"East Asia Keyboard Alliance" is a keyboard duo formed in 2022 by two keyboardists, Jun Suzuki and Makoto Nomura. After 35 years since their first session in 1987, they finally formed a unit and released their first album "Imanomai".
パンデミックのためマスクと消毒を強いられた2022~23年に録音した。その場で生まれてくる音楽を直感でつかまえようと、楽譜は使わず、身体感覚と耳を頼りに演奏している。お互いに共有するリズム感、グルーヴなど、フィーリングを拠りどころに、とにかく二人が楽しんで演奏した音楽。時々、盛り上がったり、脱線したりする、切なくなったりする行き先不明の音楽。その自由な展開を損なわないように、できる限り編集を施さず、ライブ感を活かした音源になっている。全15曲124分。
Recorded in 2022-23 when the pandemic forced people to wear masks and sanitise. In order to catch the music, which was born on the spot, by intuition, they did not write music, but rather relied on their physical senses and ears. This album, which is based on their shared feeling of rhythm and groove, is filled with joy of playing. Their music without setting any destination, often with deviations, is sometimes lyrical. In order to keep its sense of free form, it has been edited as little as possible and makes the most of the live feeling. In total 15 songs in 124 minutes. Please enjoy it.
大学を卒業後、結局、野村は作曲家に、鈴木はキーボーディストになった。もともと、野村と鈴木は、大学キャンパスで缶蹴りをしていて友達になった。こどもか?とよく言われる。
グランドピアノが弾ける大学の部室で夜中にピアノ2台で「なにも決めない自由な即興セッション」を延々として遊んでいた。大学卒業後も、なんどとなく野村と鈴木はそんな「完全自由な即興鍵盤セッション」を繰り広げてきた。自分たちのためだけに。それから35年、それはいつもその場で消えていく音楽だった。しかし、その長い年月を経て、今回はじめて人に聴いてもえる形になった。その「なんのためでもない即興セッション」が。どうしてかというと、野村が鈴木に電話して言ったのだ。「もういい年なのでそろそろ形にしましょう。でないとどちらかが死んでしまう。」このCDは、全曲が、なにも決めない完全な即興でできている。二人だけの即興と、演奏の断片のループ(繰り返し)に合わせて二人で即興しているものとが交互に並んでいる。その即興は、「あらゆる束縛と忖度がないほんとうに自由な世界」を露わにしている。こどもが自由に遊ぶように。二人は、信じている。「あらゆるしばりがない」自由さの中からだけ、本当の意味での新しいものが生まれる。そしていま世の中にあるあらゆる音楽のジャンルも、昔そうやって完全になにもないところへ飛び出していった人たちの軌跡でしかないと。東アジアに生まれた二人の鍵盤弾きの自由の記録。

 

ガムラングループ「マルガサリ」代表の大井卓也さんと、サントリーホールの河野彰子さんと打ち合わせ。8月27日のコンサート『Music in the Universe』の舞台転換について。ホセ・マセダの作品に加えて、小出さん、宮内さん、藤枝さん、野村と4曲新曲があるが、それぞれの作曲家がジャワ・ガムランの楽器を自由に選んで作曲し、さらには、楽器の配置なども指定がある曲もあって、工夫しないと、一曲やるたびに20分くらい楽器の総とっかえの引っ越しになる。ということで、5人の作曲家の楽譜を参照しながら、どの順番にすると最小限の引っ越しでスムーズに演奏会ができるかを考え、色々整理できた。大変だけど、楽しみな演奏会。