野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

いのちの政治学/マセダのパート譜

熊本に戻る。断然、気温が高くて驚く。

 

中島岳志若松英輔『いのちの政治学 リーダーはコトバを持っている』を読了。SNSで知人が紹介していたので、読んでみた。面白かった。政治の話かと思って読み始めたら、一貫して利他的な振る舞いについての対談のようだった。ぼくは、アーティストとして自分の名義で作品を作り発表し、様々なプロジェクトでリーダーとして動くことが多い。でも、「自分」の作品という意識よりも、「自分たち」の作品という意識の方が強い。それでいいんだなぁ、と勇気づけられる対話だった。

 

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8月27日に指揮をするホセ・マセダの《Music for Gongs and Bamboo》のスコアを見ながら、97年のマセダ自身の指揮を見る。どうして、マセダの指揮はこんなに4拍が不均等なのだろう?見ていくと、打楽器、ガムランが奏でている時は、比較的均質な時間が流れている。ところが、歌、龍笛コントラファゴットがメロディーを奏で始めると、マセダはメロディーに寄り添っていく。息遣いが長くなる。古い資料から初演時の合唱パートのパート譜を発掘。今までの打ち合わせで、このパート譜のことが言及されたことはなく、ひょっとしてと思い確認すると、持っていないとのことで早速共有する。