京都にて、ガチャ・コン音楽祭Vol.3に向けての打ち合わせ。コーディネーターの野田智子さんと永尾美久さんと。滋賀県の近江鉄道沿線で行うアートプロジェクト。一年目は、コロナ対策での音楽会の実施ということで、換気の不要なオープンエアーの無人駅を舞台に音楽会を実施。また、飛沫のために特に演奏機会が減っていた「歌」にフォーカスを当てたオリジナル駅名ソングを車内放送した。二年目は、滋賀の梵鐘をリサーチして、梵鐘づくりの仕事歌の現代版、梵鐘のフィールドレコーディングと共演するコンサートを梵鐘工場で実施、雅楽、合唱、ベトナムのゴングでの演奏など。三年目は、一年目、二年目を踏まえて、
1 滋賀の太鼓をリサーチ
2 近江鉄道の駅を活用
3 音楽のみならず美術やダンスなどの要素も入れる
4 子ども向けのプログラム実施
というような方向性が出せると良いのではないか、と思うが、限られた予算の中でどこまで実現できるかは、今後の課題。運営体制を考えながら、実現可能なところに落とし込めればと思う。でも、いい打ち合わせができた。
夜は、豊能町(大阪府と京都府の府境にある標高400mの高地)のガムランスタジオ「スペース天」にて、ガムラングループ「マルガサリ」と新作のためのクリエーション実験の第1回。メンバーの5人が参加。いきなり即興で演奏してもらった。即興に困るというよりも、自由に即興している感じに驚いた。15年ほど前(ぼくがマルガサリと濃く関わっていた頃)は、伝統音楽(カラウィタン)の演奏は素晴らしかったが、即興には苦手意識があったと思う。釜ヶ崎ガムランや瓶原アートプロジェクトなどに取り組む中で自然にこうした面が強化されたのだろう。続いて、大相撲の一番太鼓のリズムをやってみた。相撲太鼓のリズムもジャワになる。そして、相撲太鼓にそっくりのリズムが、スマランのガムランにあるとのこと。日本の相撲がいきなりジャワのガムランとつながった。消音のタイミングをずらして響きを味わうことなどもやってみた。
8月27日のサントリーサマーフェスティバルで世界初演される新曲の作曲にとりかかる。東京のサントリーホールでの現代音楽のフェスティバルという場所は、大阪のガムラングループにとっては、非常にアウェイな場である。大阪らしさ、ガムランらしさ、マルガサリらしさを活かした作品にしたいと、心底思ったし、野村誠が作曲するのだから、マルガサリというグループの特色に最大限に呼応する作品をつくりたい。そして、今日、ぼくは今のマルガサリがどんなグループなのかを体感した。マルガサリだけでは実現しない野村ならではの作品を作るけれども、マルガサリならではの作品にしよう。