野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「おかえりなさい」。帰って来たのはシスコさんだけではなかった。

明け方5:30まで美術館での作業が続き、朝6時に就寝。朝9時には、展覧会『おかえりなさい、シスコさん』がオープンしたはずで、おそらく里村さんは2時間睡眠で出勤したのだろう。

 

正午に美術館に行く。色々な方々との再会がある。関係の方々も多数来て下さっているが、何にも増して嬉しいのは、小学生たちとの再会だ。不知火小学校の子どもたちが、《ウマイレガワ》の絵に寄って行って、ワークショップで作った歌《ウマイレガワ》を歌ってくれる。豊川小学校の子どもたちは、自分達の描いた月の絵を見た後、《古里の家》の絵の前でワークショップで作った歌《古里の家》を「シスコ、シスコ、Ohシスコ」と歌ってくれる。中学生になった小野部田小学校の子にも再会したし、いくつかの学校の先生にも再会した。ぼくが展示室にいた限られた時間でも、こんなに子どもたちに出会えた。300人近い子どもたちとシスコさんの絵を見て、絵について語り合いながら歌を8曲も作ったのだ。その子たちが、こうして美術館に家族を伴って来てくれるのは、本当に嬉しい。4月5〜9日に開催した『シスコラボ!スタジオ』の5日間に美術館にやって来て下さった方々も、何人もお顔を拝見した。再会が嬉しい。

 

熊本市現代美術館の坂本顕子さんとシスコさんのお孫さんの福迫弥麻さんによるトークがあった。先週の週末の『シスコラボ!スタジオ』で小さい子どもを連れた親子が山ほど訪れてテンテコマイだった経験で、この美術館・図書館の利用者の大半は子どもなのだと認識した1週間後の土曜日、本日のトークの客層はかなり年齢層高めだった。今回、展示されている作品に関する話が多かったので、とても面白く聞いた。子どもたちと歌を考える際は、絵を子どもたちがどう感じたかを最優先したので、かなり脱線/逸脱した解釈になった。そうした解釈を受け入れる自由さがシスコさんにはある。そうして歌を作った後に、お二人の研究の足跡をフォローするのは、新鮮。

 

展覧会は、会期中何度でも鑑賞できるチケットなので、そして、音楽を一回全部聴くだけで30分かかるので、何度も足を運んでいただき、会場の色々な場所から色々な角度から展覧会を味わっていただくと、その都度新鮮な体験ができると思うので、皆さん、また来てくれるといいな。図書館に本を返却する度に展覧会に寄ってみるのもいいと思う。その都度、違った出会いがあると思う。「おかえりなさい、シスコさん」だと思ってたけど、「おかえりなさい」は、みんなだなぁ、とつくづく思った1日。

 

ということで、展覧会オープン。スタッフの皆さん、本当にヘトヘトだと思いますが、お疲れ様でした。