野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ナンカロウと片岡祐介/校歌のたたき

今日はオフで、以前から少しずつ読んでいたKyle Gann著『The Music of Conlon Nancarrow』(Cambridge University Press)を読了。自動ピアノの作品で有名な作曲家コンロン・ナンカロウの分析の本。ナンカロウの約50曲以上ある自動ピアノのstudyシリーズは、解像度の粗い耳で聞くと同じような印象を持つかもしれない。約100曲あるハイドン交響曲がどれも同じように聞こえるけれども、よくよく聴くと、それぞれで色々な遊びがある。実は、ナンカロウもそうだ。この本はその最良のガイドで、初期の新古典主義やジャズの影響から始めて、オスティナート、イソリズム法、リズムカノン、加速と減速、そしてこれらの手法の統合と、技法に着目して、作品を分析していく。そして、最後に晩年に有名になった後の人間が演奏するための作品の分析まで、非常に勉強になった。4:5:6だったり、12:15:20だったり、14:15:16だったり、17:18:19:20だったり、e:πだったり、ナンカロウは色々なテンポのレイヤーをつくる。ぼくが20代の頃、片岡祐介さんの音楽療法のセッションを見学すると、複数の人が全く別々のテンポで楽器を鳴らしていることがあり、そこで起こっている複雑なリズム現象は、ナンカロウと実は似ていて、計算と機械で得られるリズムと、自由に楽器を配って得られるリズムが似てくるのは面白い。

 

校歌の作曲、一度書いたものを、ちょっと手直し。来週、子どもたちに質問したい点をピックアップ。ラフに作っておいて、細かい点をどっちにしたい?と子どもたちに尋ねていく計画。そうやって質問を考えていくと、歌詞の内容がより理解できたりする。