野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

育児と芸術てんやわんや劇場

ながらの座・座でのコンサート。ヴィオラの中田美穂さん、鍵盤ハーモニカの宮原裕子さん。ぼくの新曲《育児と芸術てんやわんや劇場》の世界初演だった。今年の10月、滋賀での『ガチャ・コン音楽祭』の『無人駅の音楽会』が終わった直後に作曲した曲。『無人駅の音楽会』がかなり大掛かりな企画だったので、その余韻にしばらく浸っていたかったけれども、気持ちを切り替えて作曲した曲。

 

リハーサルに立ち会って、ぼくが何度も言った言葉は「空気を読まない」。ヴィオラと鍵盤ハーモニカがお互いに音色を馴染ませ溶け合わせることも、時には重要。でも、それぞれの違いや個性をくっきりと浮かび上がらせることも、同じように重要。お二人の演奏は、溶け合わせることがとても上手だったので、逆に、合わせない、空気を読まない感覚、我が道を行く感覚をお伝えした。その結果、演奏のメリハリが断然ついていい感じになった。

 

ぼくの曲のリハーサルが終わると、太鼓で何曲か参加してもらえないか、と打診があった。今日は出演するつもりはなかったが、せっかくなので参加。太鼓要員としてサポートメンバーになるのも、なかなか新鮮。

 

結局、野村作品でも、せっかくだからと、曲の一部分だけ鍵盤ハーモニカでユニゾンで出演することになった。野村のケンハモの演奏のエッセンスを、宮原さんに実演を通してお伝えすることができれば、とお引き受けした。こんなことならば、一昨日くらいからリハーサルに合流して、みっちり一緒に練習すべきだったかもなぁ。

 

作曲家の中村匡寿さんとは、12月1、2日の東京でのアジアと現代音楽コンサートでご一緒し、19日の東京でのコントラバスのコンサートでご一緒し、今日もご一緒したので、今月、3つのコンサートで一緒になった。才能溢れる作曲家。

 

コンサートでは、外からの光が障子に映し出す木々の影や光と音楽の偶然の遭遇が美しく、影と光のための音楽も作りたいな、と思った。

 

滋賀は大雪になる前の小雪で、楽しい年末のコンサートだった。