野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鍵ハモトリオ 全15曲

2月3日の日本現代音楽協会主催の「鍵ハモトリオ」コンサート(野村誠 鍵ハモトリオ「鍵盤ハーモニカ3重奏のために。」)に向けて、片岡祐介さんと鈴木潤さんとリハーサルをしました。1曲3分、15人の作曲家による15曲ですが、今日は、とにかく、全15曲を最低1回ずつは通してみました。このうち13曲が新作世界初演です。13曲も世界初演するというのは、予想はしていましたが、本当に大変です。全曲通してみて、ヘトヘトになりました。これ、やる方は本当に大変ですが、聴く方は相当楽しいと思います。全然趣向の違う15曲を聴き比べることができるのですから。リハーサルを録音してみたので、今、本番の曲順にして、聴いておりますが、凄いバラエティです。これが作曲賞じゃなくって、本当に良かった。コンサートとしては、本当に楽しいけれど、この15曲の中から1位を決めろと言われたら、頭を抱えて苦しむことでしょう。どれもが全然違う方向性を向いていて、しかも面白いから。それにしても、今回の出品作曲家の多くが関西の作曲家なのですが、関西の作曲は、予想していたよりも遥かに層が厚く、ユニークな人が多い、ということを思い知りました。

ということで、明日からこのブログにて、15日間かけて、それぞれの曲について語る特別連載をしたいと思っております。お楽しみに!


2月3日(日)15時開演
出演 野村誠片岡祐介鈴木潤 
芦屋 山村サロン
入場料:2500円 
チケット申し込み:日本現代音楽協会03-3446-3506 http://www.jscm.net/



作曲家からのメッセージも、以下のように届いております。いやぁ、これはコンサートというか、もはやフェスティバルです。いや、これだけの作曲家が一同に会するフォーラムです。これは、作曲フォーラムであり、鍵盤ハーモニカフォーラムです。出演者3人だけですが、大事件です。鍵盤ハーモニカ史上の大事件になることは、間違いなしです。近藤浩平さんは、とんでもない事件を企んだものです。

作曲家からのメッセージ

平木悟
私は、子どものための楽譜出版社「ミュージックエイト」の社員です。日頃仕事で親しんでいる鍵盤ハーモニカが、現音さんで取り上げられると聞き、企画に参加したいと思いました。願いが叶って喜んでおります。


三沢治美
作曲・編曲家、ピアニストの三沢治美です。無声映画の作曲や、合唱曲の出版などをしています。鍵盤ハーモニカはピアノデュオやバンドで演奏中。2月の鍵ハモトリオで皆様にお会いできることを楽しみにしています。
http://www.harumi-misawa.com/


池田真沙子
はじめまして。2月に行われる、鍵盤ハーモニカのコンサートに出品させて頂きます。新しいもの!美しいもの!楽しいもの!との出会いに恵まれ、2013年をスタートできる事に、とても感謝しております。


高橋哲男
「いつもはMAXでプログラミングしたり、即興を探求したり。記譜からは一番遠いところから小さくて大きなオーケストラ、鍵ハモトリオの為に作曲しようと思った時、やはり使ったのはMAXでした。」


田口雅英
明けましておめでとうございます。2月の鍵ハモトリオ公演に出品いたします、田口雅英です。今回の私の作品は、3人の奏者が会場内を歩き回りながら演奏するパフォーマンス的な性格や、それに伴って音が様々な方向から聞こえてくる空間性に焦点を当てています。


中村典子
昨年、中国南部九州近畿関東米国西部を訪れた金環日食は地球上同地点で数百年に一度の出来事。私達はまた始まった。2013年も地と時と真に結ばんと雛翠と共に力を尽くします。


大慈弥恵麻
「愛があって味わいがあって。そんな楽器、鍵ハモでの今年の関西企画からはこってり15曲発信します。どうぞご期待ください。」


南川弥生
レクチャーで初めて知った鍵ハモの様々な奏法や可能性。いざ書き出してみると、息を使う鍵盤楽器ということを再認識。3分でも内容濃く大量な音の洪水に、山村サロンの能舞台を前に、演奏者も作曲者も聴衆も溺れないことを願いつつ。


福井とも子
この曲を書く為に鍵盤ハーモニカを購入。しかしながらこの楽器、聴くと吹くとでは大違い。こんなに息が続かないなんて!!!それで毎日特訓と称し、遊んでいてできたような曲です。


諸橋玲子
子供の頃に演奏したことのある鍵盤ハーモニカ。とても身近な楽器だと思っていたのですが、いざ書き始めるとまた違った新しい世界が見えて来たようです。15曲それぞれが3分間、どのような音の世界を繰り広げるのか楽しみです。


近藤浩平
NHK教育の番組「あいのてさん」でも人気の野村誠さんは、子供からお年寄りまで音楽の遊びに巻き込む不思議な人です。現代音楽の作曲家諸氏も刺激されて何をしでかすことやらです。

演奏家のメッセージ

野村誠
1曲3分、全15曲のコンサート。多彩なプログラムになりました。現代音楽の魅力、鍵盤ハーモニカの魅力を、最大限に表現していきたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。


片岡祐介
この曲を書かれた方はどんな顔?どんな声?と想像をふくらませながら譜面を読んでいます。見知らぬ方々から沢山のお手紙をいただいた気分。僕は演奏で返信をお届けします。皆さんぜひお越しください。


鈴木潤
一口に「現代音楽」といっても、こんなに色々な表現があるものなのかと、いただいた譜面を練習をしながら自らがわくわくしております。弦楽器的な演奏、パーカッシブな演奏、一般にはあまり知られていない特殊奏法まで、鍵盤ハーモニカ自体の多彩な表現も楽しんでもらえたらうれしく思います。

プログラム

福井とも子:ascending and descending
平木悟:音楽は廻る
池田真沙子:もつれたリチェルカーレ
木山光:曾根崎心中
近藤浩平:南の島の3人の男
Andrew Melvin:トリオ
南川弥生:Moon rainbow
三沢治美:Blue Dance
諸橋玲子:おとなひ�
中村典子:雛翠
野村誠:ベルハモまつり
大慈弥恵麻:Nasobema2
Gardika Gigih Pradipra:Melodi di Kampung
田口雅英:3分間の夢想
高橋哲男:五連鐘楼のアナグラム