野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

多彩でユニークなコンサート/コントラバスのことば

大阪にてコンサート。本日のコンサートの様子を、Yoshuホールのブログで写真入りで丁寧にレポートしていただいたので、まずは、こちらをご覧ください。

 

yoshuhall.jugem.jp

 

本当に多彩でユニークなコンサートだった。ピアニストの清水友美さんのピアノリサイタルと言いたいところだが、1曲目の近藤さんの《Very Very Sleepy》で歌い(ぼくはピアノ伴奏)、2曲目の田口作品、3曲目のサントス作品では、しっかりピアノソロを聴かせる。4曲目のAlfredの曲をぼくとピアノ連弾した後、5曲目のKah Hoe作品では手首と足首に鈴をつけてピアノを弾くのだが、ピアノ演奏でありながらダンスのようなパフォーマンス色の強い演奏。そして、6曲目の野村作品では、ぼくのピアノ演奏に合わせてダンスをした。歌って、踊れるピアニストである。後半の1曲目は自分で作曲した劇音楽をピアノで弾き、2曲目は自分のつくった多重録音の劇音楽を流しながら鍵盤ハーモニカを吹く。3曲目の田口作品で、野村と鍵盤ハーモニカの二重奏で共演。4曲目の近藤作品はピアノの難曲を弾きまくった最後に弾きながら歌い、5曲目の野村作品《おっぺけぺーの種を蒔け》を演奏する頃には力尽きそうになりながらも難曲を最後まで弾ききった。この企画、清水さんを酷使しすぎだーー。アンコールでは、清水さんのピアノ伴奏で3人の作曲家が《Very Very Sleepy》を歌った。

 

清水さん、近藤さん、田口さん、Yoshuホールの皆さん、観客の皆さん、ありがとうございました。

 

打ち上げをしたいところだが、野村の新曲《コントラバスのことば》のリハーサルに立ち会いたくて、頑張って東京に移動してしまった。コントラバスの近藤聖也さんとバリトンの松平敬さんが佐原詩音さんの新曲をリハーサルしているが、これを聴いただけで感激。コロナでなかなか生演奏を聴く機会が少なかったが、コントラバスの低音は、生演奏で体験するのは格別。どんな高音質のスピーカーでも、ヘッドフォンでも再現できない低音の振動が肌に直接響いてくる。それは、松平さんの歌声もそうだ。この響きを浴びているだけで幸せすぎるのだが、佐原さんの新曲は歌が一人で楽器も一人なのに、もうこれはオペラである。音楽であるが演劇でもある。見事にノアの箱船の世界に引き込まれた。

 

そして、野村の新曲、これまでリハーサルの音源を聞かせてもらっていたが、やはり生で体験するのは、超格別。松平さんは低音デュオとして《どすこい!シュトックハウゼン 》(2021)を熱演していただいたが、今回も凄い表現力だった。ヴィオラ・ダ・ガンバの水野翔子さんは、東京藝大のコントラバス科の卒業演奏で野村の《弓から弓へ》を演奏したツワモノ。前例のないことをやる勇気のある人。だじゃれ音楽にも参加している。そして、今回の首謀者コントラバス奏者の近藤聖也さんは、コントラバスで世界を変える熱い想いを持つ若手コントラバス奏者。単なる脇役でないコントラバスの新世界を築いていくであろう人物。ぼくが悪戦苦闘しながら作曲/作詞した曲が3人の力によってどんどん育っている。

 

ということで、12月21日は、こちらのコンサートへ是非どうぞ!

 

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