野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

さんぽと歌/口の消毒/コントラバス/風土とともにつくる

米原在住のシンガーソングライター、岡田健太郎さんと打ち合わせ。岡田さんは、『ガチャ・コン音楽祭』の「車内放送歌合戦」の駅名ソングを4曲作曲されているが、9月20日に、一緒にワークショップ「さんぽと歌」を行い、朝日野駅河辺の森駅の駅名ソングをつくる。そのための打ち合わせ。岡田さんとお仕事をするのは、今回が初めてだが、無茶振りしてもらうことで、発想が広がるから、なんでもやります、と言ってくださっていて、心強い。新しいことに取り組みたいと思って関わっていただいているのが、何より。9月20日も面白いことになりそう。

 

コロナ後、初めて歯医者に行った。口の中を扱う歯医者さんは、コロナで最も大変な業種だと思う。うがいのコップに、感染症対策の消毒液を入れているとのことで、口の中も殺菌してからの治療。

 

コントラバスの作曲は一気に進んで、骨格はできあがってきたが、「言葉(歌詞)」がまだまだで、主に作詞や作文をしている。

 

夜は、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)とKIAC(城崎国際アートセンター)と映画監督の波田野州平さんとのリモート会議。本来であれば、今日、豊岡演劇祭で波田野さんの映画のプレミア上映があったはず。1年前に城崎でレジデンスして、竹野相撲甚句をリサーチして、《オペラ双葉山 竹野の段》を創作し発表した。本日は、波田野さんのほぼ完成の映画(75分)を見せていただき、それについて議論をするというもの。音声や色調の調整はまだとのことだが、映画の構成としては編集は完了していて、これは本当に素晴らしい映画だった。映画の中には、2週間のレジデンスで起こった様々な出来事の断片が散りばめられており、それがランダムに配置されているのではなく、絶妙に組み合わされながら、新たな物語を紡ぐ。それは、フィクションのようなドキュメントだった。なぜなら、ぼくたちは実際に、竹野に生活する人々と交流すると同時に、四股を踏み、音を奏でることで、過去の霊や精霊と対話していたからだ。目に見えないものたちと、音と身体を通して、コミュニケートしていた。そのことが、映像を通して、違った形で具現化されていた。それは波田野さんが構築したフィクションのようであり、物理的にはカメラに映らない世界が映像になっていた。嬉しかった。豊岡演劇祭は中止になってしまったが、この映画をなんらかの形で公開していく方法を探っていきたい。

 

城崎国際アートセンター(KIAC)2020年度滞在アーティスト アフターレジデンス『風土とともにつくるということ - 竹野で生まれた2つの作品をめぐる映像上映と交流会』 | 豊岡演劇祭2021 Toyooka Theater Festival