野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

JACSHA城崎レジデンス 十一日目 四股とマーラーと相撲甚句

JACSHA(=日本相撲聞芸術作曲家協議会)のKIAC(=城崎国際アートセンター)でのレジデンス11日目。

 

疲れもたまっているので、朝は自分のペースでゆっくり寝る。そして、相撲聞芸術講座の時間として、コントラバス奏者の四戸さんとの交流の時間になる。竹野相撲甚句のステップをユニゾンでやらずに、カノン(ずらして)でやってみたり、それぞれの拍を1.5倍や2倍などにしてやってみる。つまりは、同じ竹野相撲甚句のステップをずらしたり、拡大/縮小したりして組み合わせるだけで、複雑な音楽になる。「オペラ双葉山 竹野の段」の1シーンが生まれてくる。

 

スタジオで四戸さんからコントラバス体験をさせていただく。楽器に耳を触れて低音の振動を直に感じたり。そんなことをしているうちに、四股を踏みながらコントラバスを弾く四戸さん。マーラー交響曲第1番の第3楽章が始まる。バスケンハモでマーラーの葬送を重ね、そこに竹野相撲甚句のメロディーを重ねる。マーラーと竹野相撲甚句が一緒になって弔いの音楽が生まれてくる。ああ、なんて当たり前のように、四股とマーラー相撲甚句がマッチするのだろう。それは、ミスマッチをコラージュしたのではなく、必然のようにそこにあった。

 

JACSHAフォーラム2020の3回目は、ゲストを四戸さん。四戸さんからは、「オペラ双葉山」を考える上で本当に重要な言葉をいっぱいいただく。

 

旅館小林屋で鶴見の三線による相撲甚句を撮影し、同時に、KIACのスタジオでは、マーラーコントラバス二重奏を収録。11日のコンサートに四戸さんは出演できないので、録音でカラオケ参加。四戸さんは一人しかいないので、野村がコントラバスの開放弦のピチカートを10分間弾き続けた。四戸さんとの初共演/初収録は、なんと恐れ多くもコントラバスで。コントラバスの演奏は、楽しいけど、緊張したーー。

 

ヴァイオリニストの小川さんが大阪より到着。ちゃんこで楽しく交流の後、温泉を経て、深夜の施設案内でホールに行くと、波田野さんが編集作業中で、昨日、今日に撮った映像を見せていただく。「竹野町史」を読むと、知られざる竹野が色々埋もれていて面白く、こうした言葉が「オペラ双葉山 竹野の段」に入ってきそうな予感。

 

10月11日のコンサートまで残り2日。台風のスピードがあがり、数日前には90%だった天気予報の11日の午後の降水確率は10%になり、いよいよ本番に向けて、ラストスパートとなった。