野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

江州音頭をリサーチ中

びわ湖アーティスツみんぐる2021『ガチャ・コン音楽祭』に向けて、少しずつリサーチ中。今日は、松本敦三さんを訪ねた。松本さんは、江州音頭の保存会の会長をしていて、江州音頭の芸名は桜川伯山。しかし、松本さんは、それだけではなく、関西大道芸フェスティバルを企画運営したり、南京玉すだれ保存会をやって自らも実演。さらには、ガマの油の口上もやって、これも保存会の会長をしている。滋賀県の芸能の保存をいくつもかけもちしている本当に面白い人なのだ。

 

ぼくが訪ねて行くと、山ほど資料をコピーして待ち構えていて、次々にプレゼンして下さる。この伝えようとするエネルギーが半端ない。伝えたい気持ちもいっぱいだし、伝えたいこともいっぱいだ。

 

今までなんとなく知っていた江州音頭だが、法螺貝の音を真似て、レレレレ、レンレレレンレ、と擬音語で歌ったり、色々不思議な面白さに溢れてる。そういう面白みに興味を持って質問すると、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、松本さんが説明してくださる。今日の目的は、江州音頭を題材に作曲して、10月31日のクロージングライブでフルートなどで演奏できるようにするためだった。しかし、この松本さんの面白さこそ、うまくプレゼンしたいよなぁ、と思う。芸名が桜川伯山だから、桜川駅でなんらかの形で登場してもらえないだろうか、とか考えたりする。

 

滋賀県でリサーチをしながら、魅力的な人に次々に出会う。こんなに素敵な人たちがいっぱいいて、ぼくがお節介に何かすることなんてないじゃないか、とも思う。でも、ぼくは、松本さんのようなアクティブな方を、全く違う文化や価値観を持っている若い世代を、うまく出会わせたい。多様性とか、みんな違ってみんないい、とか言われると、結局、みんなどうでもいい、と言われている気がしてしまう。昨日のワークショップで、道に生えている雑草全部に対して、一緒くたに多様性で片付け、「みんないいですね」と言うことにより、それ以上、全く見ないことだってできる。そうじゃなくて、自分なりにセレクトして、これとこれがこんな風に出会うと、意外な魅力が出せるんじゃないか、とやったから、面白かったんだ。だから、滋賀県に素晴らしいアーティストがいっぱいいるし、素晴らしいスペースもいっぱいあるし、魅力的な人がいっぱいいるし、魅力的な地域もいっぱいあるのは大前提で、でも、ぼくは何でもOKじゃなくてセレクトして提示したい。それも、それぞれの持ち味や魅力が最大限以上に引き出せる場を作りたい。

 

そんな感じの種まきの一年目。可能性はいっぱい見えてくるし、自分なりに課題もいっぱい見えてきているし、何より滋賀県を愛している人々に影響されまくって、滋賀県に対する愛着が増している。滋賀県、自然もいいけど、とにかく人がいい。だから、また来たくなる。滋賀の魅力をもっともっと紹介したくなる。こんなに滋賀が好きになったのは、今年度の大きな収穫だな。