野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

若冲の踏歌/コントラバス/ノムラノピアノ

昨夜は奥歯の歯茎が急に痛み出して、痛くて全然寝られず。以前、虫歯だと思って歯医者に行ったが虫歯はなかった。おそらく食品アレルギーの症状なのではないか、と思っているが原因は未だ突き止められずにいる。で、痛みが収まるまで起き上がって画集を眺める。パソコンの画面とか見ると、目がさえそうだし、文字を読むと覚醒しそうだし、画集を眺める。20年くらい前の若冲展のカタログをのんびり眺めて、最後の方まで来た時に、「踏歌図」なる絵に出会った。

 

昨年、山本亜美さんのために《世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ》という曲を作曲した。

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その時に、パンデミックをしずめることと、死者の霊を鎮めることと、いろいろ考えているうちに、「踏歌」についてリサーチして作曲することにした。飛鳥時代に大陸から伝わり、平安時代には宮廷で男踏歌と女踏歌の儀式が行われた。現在、名古屋の熱田神宮で行われている「踏歌神事」が、源氏物語の時代の踏歌と類似していて、ぼくの曲は、熱田神宮の「踏歌神事」を参照している。しかし、伊藤若冲の生きた江戸時代には、「踏歌」は途絶えていたはずだ。しかし、箱書きに「踏歌図」と書かれていたとのこと。

 

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絵を見ると盆踊りみたいな感じだが、画面には「雀」、「躍」の二文字がある。あれれ、これは雀踊りだ。実は、昨年、元力士の一ノ矢さんと「北斎漫画」と「相撲」についてトークしたのだが、一ノ矢さんが北斎が描いた雀踊りの絵にいたく感動され、江戸時代の人の股関節の柔らかさが素晴らしいとのこと。北斎若冲も雀踊りを描いているんだ。北斎の雀踊りと若冲の雀踊りを見比べ、歯が痛くなったおかげで、一つ気づきがあってよかった、と満足して後、睡眠。朝起きて、朝食をとると、痛みは収まった。なんだったんだ。いつか、雀踊りと北斎若冲と相撲を結ぶような音楽を作りたい。

 

今日も《ことばコントラバス》の作曲。ちょっとずつ進む。庭の雑草との格闘も進む。フィリピンのダヤンとの自転車のプロジェクトのために自転車に乗る写真(里村真理撮影)をとって、ダヤンに送る。8月中に送ってくれと言われていて、ちゃんと8月31日に送って我ながらえらい。小学生の頃は、8月31日は夏休みの最後の日で、大慌てで夏休みの宿題をやり始める日だった。CD『ノムラノピアノ』の発売日も8月31日だったなぁ。小山冴子さんが野菜(831)の日を発売日にしましょうか、って。あれから8年かぁ。明日から9月。少しずつ秋が近づいてきている。