野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

チョーグゥワンのインタビュー/相撲に関するインタビューがポーランドで放送

これまで、色々な国に出かけて行って、そこで出会った人たちと交流し、音楽をつくってきた。例えば、世界各地で知り合ったアーティストたちの中から、この人は何か面白いなとか、何か一緒にやれそうだなと思うのは、その人の作品や演奏などを少し聞くだけで直感することが多い。ちょっと一緒に即興演奏しただけで、ほとんど会話を交わす時間もなかったようなケースでも、そこから付き合いが続くこともある。マレーシアの作曲家Ng Chor Guanとも、実は、そんなに深く話したことがない。2013年にクアラルンプールで共演した時は、ほとんどリハーサルの時間もなかったし、一度、一緒にご飯を食べに行った時に、マレーシアの食文化や多民族性や選挙の話などを話したが、実は音楽の話はほとんどできず、即興演奏で本番をした後も、ほとんど話す時間がなかった。2015年にクアラルンプールでのコンサートで共演した時も、出演者がいっぱいだったから、ほとんど話せていない。ただ、本番の真っ最中に、チョーグゥワンが一言、ぼくに耳打ちしてきた提案が、非常に的をついていたので、即座に予定を変更してチョーグゥワンの案に変えた。その時に、あ、彼はディレクターとして全体をみる資質があるんだ、と直感した。その後、ロンドンで一度、夕食をしただけなので、実質チョーグゥワンとは3回しか会ったことがない。しかし、ぼくは、彼のことを面白いと信頼している。その上で、9月12日の『アジアだじゃれ音Line音楽祭』に彼を招聘し、今日は彼にインタビューをすることになった。

 

インタビューをしてみると、予想通りというか、予想以上に彼の話は面白かった。そして、まるで野村誠の活動とリンクするかのように、彼は、数年前から音楽家ではない人と共同で舞台をつくっていく活動をしている。《千住の1010人》ではないが、400人で携帯電話を鳴らし、熱帯雨林サウンドスケープジョージタウンの大都会に作り出したりする。美しさと醜さの両方に興味があると言う。それは、「だじゃれ」の「だ」に対応するコンセプトともとれる。話を聞けば聞くほど、彼こそ、千住だじゃれ音楽祭に招聘すべきアーティストだと確信する。

 

そして、3度しか会ったことがないにも関わらず、チョーグゥワンも野村誠のことを理解していた。最初に一緒に即興をした時点で、こんなに遊びの感覚を持って演奏するミュージシャンに初めて出会ったと体感してくれていた。当時、チョーグゥワンとイージャンの運営するトッカータ・スタジオは、ドリアン・ビュッフェの近くにあった。だから即興の最後にドリアン・ビュッフェのことを、ぼくが弾き語った。彼は今でもドリアンの季節が来ると、マコトのことを思い出すと言う。そして、マコトからの依頼だったら、よく分からないけど面白いに違いないから、すぐ参加すると返信した、とのこと。こういう風に思ってもらえる友人がいるのは嬉しい。

 

通訳の池田さんも素晴らしかった。インタビューの後、昨日のインタビューも今日のインタビューもあまりにも面白いので、5分に凝縮して翻訳の字幕をつくるけれども、フルバージョンも公開していこう、という話になった。既に昨日の映像の仮編集ができていた。

 

ポーランドの音楽評論家のKrzysztof Dziubaから連絡が来て、今日、ポーランドのラジオPolskie Radioでの番組で、「相撲と音楽とスポーツ」という特集をやって、以前取材してもらった野村のインタビューも流すとのこと。日本時間の22:15-23:00だったので聞いたが、相変わらず面白かった。東京オリンピックに絡めて企画したのだと思うけど、オリンピックを全然見ていないけど、オリンピックをきっかけにこんな面白い番組をつくるクシシュトフすごい!番組番組のアーカイブは、ここで聞ける。

 

www.polskieradio.pl

インドネシアのバドミントンに関する歌が出た後は、延々と相撲の話で、それも相撲甚句だったり、相撲太鼓だったり、ねってい相撲(兵庫県養父市に伝わる神事相撲)などマニアック。民謡クルセイダー、タイのムエタイの音楽もよかった。世界の色々なところに、面白い友達がいるのは有難いなぁ。