野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アナン・ナルコンのインタビュー

9月12日に開催の『アジアだじゃれ音Line音楽祭』に向けて、動画撮影ラッシュ。9月12日にリアルタイムで配信する生演奏と事前収録のインタビューなどを組み合わせていく。本来、2020年に開催する予定だった『千住の1010人 in 2020年』で国際交流基金の助成を受けて、東南アジアからアーティストを招聘するはずだった。現在、東京ではオリンピックは開催されていて世界中からアスリートが集まっているのではあるが、我々はコロナ禍でタイやインドネシアからアーティストを招聘するのは現実的ではないと考えて、国際交流基金の助成を東南アジアのアーティストのインタビュー作成と翻訳にあてることを考えた。アーティストのインタビューを複数の言語に翻訳して配信することで、背景にある考え方が浮き彫りになり、どんなコンテクストで創作しているかが伝わりやすくなるのではないか。

 

ということで、本日は、タイのアナン・ナルコンのインタビュー。インタビュアーは、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)の胡舟ヒフミさん。理由は、胡舟さんのお兄さんにアナンがそっくりだそうで、親近感を感じるらしく、彼女のフレンドリーな感覚でアットホームに取材してもらおうと考えた。これが大成功だった。

 

通訳に登場したのが、タイのスリン在住の石丸ひさのさん(通称マルさん)で、2017年にカンボジア国境近くのジークデーク村に滞在した時に、現地通訳は雇われていなかったので、ヨードさんとカタコトでやりとりする予定だった。ところが、ヨードさんが日本語ができるヤーさんにサポートを頼んで、ヤーさんが来た。ところが、ヤーさんが日本語が不安だからと、日本人のマルさんを呼んだというわけだ。だから、4年前にタイで濃密なコラボをした際に現場にいて野村といっぱい時間を過ごしたマルさんと4年ぶりに再会するなんて、嘘みたいだ。マルさんの通訳も素晴らしかった。

 

アナンはインタビューに現れなかった。事務局の西川さんが電話をかけると、あ、忘れてた、今からシャワー浴びるから30分後によろしく。こんなやりとりは、東南アジアではよくある。自由だ。

 

いつも英語でやりとりをするアナンに、タイ語通訳を通して日本語で質問をする機会は、初めてだった。英語でも雄弁なアナンは、タイ語になるとますます雄弁で、彼の魅力や背景になる考え方が、いっぱい示された。だじゃれ音楽に対する彼の理解も面白かった。ゾウとアリの音楽をやった理由は、彼の名前がAnantで、英語でアリはantでゾウはelephantで、Anantで、ant、elephant、ということだったらしい。

 

今年からだじゃれの事務局に加わっている昆野さんは、テクニカル担当で映像ディレクターという感じでキュー出しをしたりする。『アジアだじゃれ音Line音楽祭』という番組ができあがってきそうだ。昨年はオンライン元年だったから何もかも初めてだったけど、今年はzoomも色々な活用を目指している。

 

ほかにも、JACSHAのミーティングがあったり、校正作業があったり。気がつくと深夜。

 

2015年、アナンとのバンコクツアー。

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アナンの《Super Fisherman》も上演した『千住の1010人』(2014)

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