野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

座・座での動態展示千秋楽

ながらの座・座での動態展示の最終日。庭で池の波紋を見ながらトイピアノを演奏したり、ケンハモを演奏するのが、ここ数日の定番になっている。演奏によって、波紋の動きが違った速度で感じられたりするから不思議。トイピアノをポロポロと弾かれる方がいたので、こちらも離れた場所でトイピアノを弾く。ディスタンスのある2台トイピアノ

 

今日は、鳩サブレー缶と尺八を組み合わせた演奏をやってみた。今回、尺八と箏の自分なりの演奏スタイルを様々に試す機会になった。このプリペアドピアノを弾くのも、今日で最後。どこに何のボルトを挟んだかなども記録していないので、もう二度と同じ音楽を奏でることはできない。この1週間だけの限定の音楽。

 

野村さんは作曲家の伝記とか読んでおられるけど、何が面白いですか?という質問を受けた。作曲家の作品は、楽譜を見たり、音源を聴けば体験できるのだが、その作曲家が何を考えていたり、どんな生活を送っていたのか、という作品に残っていないことが面白く読んでいる。ヴィラ=ロボスがパリに住んでいた時に、自宅を解放してブラジルの打楽器の即興セッションを行っていたことは、作品だけからではわからないこと。ストラヴィンスキーが、晩年「自分の音楽はもう古い」と号泣したことなど。作品にも触れたいけれども、作曲家という人に触れてみたいのだろうなぁ。

 

1週間かけて約50名の方が来場。1日平均7−8名で、グループで来た人もいたので、1週間で30回ほどコンサートをした感じだ。

 

最後の演奏を終えて、ピアノに挟んだネジやボルトを外し、ピアノに取り付けた板や缶をはずし、取り外した板をはめ、ふすまをはめ、会場を元どおりに戻していく。野村誠の空間になっていた場が、日常の座・座に戻っていく。こうやって自分の空間を作らせてもらえたのは、とてもいい経験だった。座・座の橋本さん、フライヤーデザインなど協力してくれた里村さん、来訪者の皆さん、ありがとうございました。