野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

3ヶ月半ぶりに電車に乗る

イギリスのバリトン歌手Rob Gildonは、野村誠作曲の「I am Jacsha. You are Bacsha.」を再度収録してくれて、今回は今までよりもテンポよく2分10秒の動画が届く。これだとツイッターにアップロードできそうだ。いよいよ、ツイッターオペラSet Opera Freeの第1幕の冒頭のアリアとして作曲した曲が、公開になりそう。どんな反響があるかワクワクする。

 

本日は、愛知大学で授業をするために、豊橋に日帰り。公共交通機関を使っての移動は、3月28日以来なので、3ヶ月半ぶり。四股1000に参加できないので、バス停やプラットホームで四股を踏む。新幹線の車内はすいているので、3人がけを一人で占有できて広々。名古屋から豊橋間のこだまの車内がとりわけすいていたので、車内でも100回以上四股を踏んでみた。新幹線の車内で四股を踏んだのは、初めて。

 

愛知大学では、オンラインでの授業が終わり、通常の授業が再開されている。今日は、門限ズでの授業で、ダンサーの遠田誠、俳優の倉品淳子も講師としてきていて、愛知大学教授の吉野さつきのメディア芸術専攻の学生のための授業。アルコール除菌消毒薬がスタジオ内や準備室にもあり、頻繁にアルコール除菌できるようになっている。今日ほど何度もアルコール除菌をした日もないほど、頻繁にアルコール消毒液を何度も手にかけた1日だった。

 

授業は、スタジオの床に1.5m四方で養生テープを張り巡らせて、床を格子状にしていき、1マスに同時に二人以上入らないというルールで行った。4人一組で4マスで人間万華鏡のような動きをしたり、人間オセロゲームをしてみたり、線状の鬼ごっこをしたりもした。ソーシャルディスタンスという概念を、身体で感じる時間だった。自宅以外の場所でピアノを弾いたのも、3月28日以来かもしれない。

 

パソコンの画面上でのみ出会ってきた愛知大学の学生たちとリアルに出会ってみると、印象が全然違って、不思議だった。2次元の世界で出会った人々と、3次元で出会う体験。自宅で普段着でいた学生たちが、動きやすい服装に着替えてスタジオにいて、しかもマスクで顔の半分は隠れている。顔の表情は、オンラインの方がよく見えたが、立ち姿や歩く足取りなど、その人の身体が醸し出す雰囲気はリアルになると見えてくる。

 

オンラインだと、それぞれの学生の声がよく聞こえたが、リアルになるとマスクをしてディスタンスをとり、換気のため空調のノイズがすごく、言葉はなかなか聞き取れない。しかも、大声を出してはいけない。だから、リアルは言葉が聞き取れない世界だと思って、違ったコミュニケーションを探す必要が出てくる。オンラインの世界にあった困難とオフラインの世界にある困難は違う。そうしたことを確認し合う場だった。

 

授業の後、門限ズでの今週末(7月18日)の九州大学ソーシャルアートラボの企画に向けての打ち合わせもする。福岡のアユキチと遠田誠のダンスデュオのリハーサルが着々と進んでいるらしく、かなり面白そうだ。

 

オンラインワークショップ「それぞれの日常を交換する 応用編」|九州大学ソーシャルアートラボ

 

オープン・ディスカッション「オンラインで知り合う身体ー障害・ケア・表現」|九州大学ソーシャルアートラボ

 

新幹線の中で、少しだけ作曲を進める。「世界をしずめる 踏歌 戸島美喜夫へ」の譜面に、少しずつ手を加えている。

 

3時間の授業をするために、オンラインでは、3時間だけだったのが、片道2時間以上、往復4時間半ほどの移動時間がかかるので、丸一日になる。コロナ以前は、こうした移動時間に、読書をしたりしていたなぁ。今日は読書もしたが、久々の電車が珍しく、いろいろ見てしまう。初めての国で過ごす時のような新鮮さ。

 

帰宅後、そろそろ、ロブが、動画をツイッターにアップできたのでは、と思いチェックすると、動画アップに手間取っているらしく、彼は素晴らしい歌手だけれども、テクノロジーは意外に苦手なのだなぁと思う。ぼくも苦手だし、ツイッターは無理と思って、手を出していなかったけれども、ロブとコラボするために始めた。そしたら、彼もぼくも苦手で、なかなか公開できずに手こずっている。愉快な気分になる。明日こそ、公開できるかな。