野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

スコアリーディングも相撲のように

今朝の「四股1000」。梨状筋というお尻の筋肉の名前を初めて耳にした。安里屋ユンタの「またはりぬつんだらかぬしゃまよ」を「股割りぬ、すり足、腰割りよ」と替え歌する鶴見幸代。一ノ矢さんの本の中の能楽師の安田登さんのコメントが印象的(元一ノ矢著《お相撲さんの”腰割り”トレーニングに隠されたすごい秘密》p.164より)

 

 日本語のチカラの「チ」は、漢字をあてはめるとすると「魂」です。それに対して漢字の「力(リキ)」は腕の形からきているので、どちらかというと筋肉の緊張に近い。だからチカラを入れるというのは、決して筋肉を緊張させてリキを入れることではなくて魂を充実させることなんだろうと思います。

 

確かに、力むとチカラが出ない、という表現もできるなぁ。力士というが、力まずに。角力と書いて「すもう」と読むが、チカラは、チ+カラなのか。カラは、体のカラか、それとも空のカラかなぁ。

 

「音楽の根っこ」という本を書いたが、一ノ矢さんは「相撲の根っこ」を探求している方だ。そして、「相撲の根っこ」は「音楽の根っこ」と深いところで繋がるはずだ、という根拠のない確信のもとに、「相撲の根っこ」に興味がある。そして、一ノ矢さんが「四股探求の旅」という連載を始められて、その中で四股という単純な運動の意味を、昔の動画や合気道の達人など、様々な資料から見直しておられる。その奥深さに憧れて、四股を踏む。

 

6月7日にハイドンのレクチャー(オンライン)をする。ようやく情報が公開になった。情報はこちら。

 

www.century-orchestra.jp

本来、ハイドンがイギリスで作曲した3つの交響曲(93番、95番、97番)と、イギリスの作曲家ホルストの曲の4曲が演奏されるコンサートのプレイベントとしての講座なので、「ホルスト盆栽」と、3つの「ハイドン盆栽」を作曲し、ホルストの編曲もしたのだが、なんと、新型コロナウイルス の諸事情によりホルストの曲はプログラムから除外されてしまった。でも、コンサートではやらないとしても、ホルストの解説もやります!

 

ということで、今日もハイドンのスコアを読みながら、レクチャーの組み立てを考えていた。そして、オーケストラのスコアを見ながら、ピアノで演奏する際に、できるだけオーケストラ曲に忠実に弾くのもいいのだが、アドリブや即興を組み込みながら、ハイドンのスコアを演奏する、というのを、今日はよくやった。よくよく考えると、オーケストラの譜面を見て、それをピアノで演奏する際に、その場で即興的に取捨選択して、10本の指で弾いているので、それだったら、さらにアドリブしたり、ちょっと変えてみたりして弾く方が自分らしいなぁ、と思って遊んでいた。意外に楽しいし、この方がハイドンの本質に近づける気がした。スコアリーディングも相撲のようにやれたらいいのだ、きっと。そうこうしているうちに、「ハイドン盆栽 第8番」を少し書き足して修正。

 

日曜日の「第4回だじゃれ音楽研究大会」のために、インドネシアのメメット が作ってくれた石の音楽の動画が、YouTube上で公開された。わざわざ作ってくれた動画。本来ならば、日本で一緒にコンサートできていたので、会えないことは本当に残念で悔しい。でも、こうやって新たに実験をしてシェアできていることは、なかなか尊いことだと嬉しい。

 

www.youtube.com

それにしても、パンデミックの中、海外とのやりとりが止まらない。知らない人からも、次々に連絡が来る。ポーランドでラジオを聞いた人から、相撲の拍子木についての質問が来たり、スイス在住のポルトガル人のパーカッショニストが、鍵盤ハーモニカの譜面に興味を持って連絡してきたりもする。ウェブサイトを見て、いろいろ問い合わせが来るのは面白いので、時間を見つけて返信している。イギリスのオペラ歌手の友人から、ツイッターでやるオペラプロジェクトの誘いが来たりもする。コロナの時代になって、頻繁に海外に出かけていたことが嘘のような中、逆に、海外から次々に連絡が来るのが不思議だ。

 

夜は、一ノ矢さんが送って下さったテキストを、歌詞にするためにリライトしていく。自分が作曲していくことをイメージしつつ、初代高砂浦五郎の物語を再構成していく作業。面白い。