野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

変えてもいい

よく、「今こそ新しい生き方に変わるべき」とか、「ライフスタイルを変えるきっかけ」とか、そんな表現を聞くような気がするし、ぼくもそんなこと言いそうな気もするけれども、なんだか、新型コロナウイルス で突然、様々な予定がキャンセルされて、ぼくが受け取っているメッセージは、ちょっと違う気がする。「生活スタイル変えてもいいですよ」と許可をもらっている感じがする。「どうぞ、どうぞ、遠慮なく」と親切に許可されている感じだ。変えてもいいよと背中を押してもらっている。

  

生活スタイル、変えてもいいよ

でも、変えなくてもいいよ

 

今朝も四股を1000回踏んだ。4月末に始めたから、もう2万回は踏んでいるのだろう。こんなに踏んだら、何かピアノの演奏が変わっただろうかと思って、ピアノを弾いてみる。変わっているのか、変わっていないのか、分からない。ま、別に、何かが変わるために四股を踏んでいるわけではないので、変わらなくてもいいのだが、やっぱり何か変わりたいんだ、ぼくは。

  

ピアノの弾き方を変えてもいいよ

でも、変えなくてもいいよ 

 

清水友美さんの企画のオンラインイベントで、10分だけトークに出演した。トークは、主にオンラインでの音楽配信の可能性についてだった。この2ヶ月間、随分たくさんオンラインで遠隔での音楽プロジェクトをやったものだ。そして、音楽観が変わってきている。

 

音楽のやり方を変えてもいいよ

でも、変えなくてもいいよ 

  

 昨夜から五島昭彦さんに相談していて、オンラインで音楽をするためのサウンドシステムの構築の準備中。五島さんの手作りマイクも発注したし、最小限の機材を整えていきたい。

 

今まで、自宅録音などの機材を、敢えて買わないようにし続けてきた。その理由は、そこにこだわりすぎると、一人で完結し、自宅に引きこもり、人との接触せずに音楽づくりに没頭してしまうのを避けたかったからだ。だから、常に、人と交わりながら音楽を作ってきた。ところが、だんだん、インターネットを通して、テレワークが可能になってくると、自宅の中でも外部に開かれていることになってくる。もし、楽器で音を出すテレワークになるのであれば、これは、今まで以上に防音を考える必要が出てくるなぁ。

 

今日のオンライントークで、作曲家の近藤浩平さんは、こういう集まって合奏ができない状況だから、独奏曲を次々に作曲しているとのことだった。ぼくは逆に、オンラインで通常の合奏ができないからこそ、では、どんな合奏ができるのか? を問うている。通常の合奏ができなくなったのは寂しいが、通常のやり方では成立しないからこそ、この状況で成立する方法は何なのか、にこだわりたい。従来の音楽の合奏の発想を捨てて、どんな合奏があり得るのかが見えてくると、今まで到達できなかった新たな境地に辿り着ける気がする。

 

Pーブロッ(鍵盤ハーモニカ・オーケストラ)の2010年のコンサートは「次回超未定」というタイトルで、ストップウォッチで共演するコンサートだった。ストップウォッチを使って同時を確認するだけで、ビートとか拍とか指揮とかはない音楽を作った。メンバーは東京に3人、京都に2人になってしまい、集まって練習できないし、次回超未定になったのだった。ひょっとして、次回って、今なのか?Pーブロッのメンバーにも連絡してみようかな。

 

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