野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

だじゃれ音楽研究会の遠隔セッション、平田オリザと演劇

平田オリザさんというアーティストがいる。高校時代に自転車で世界1周の旅をし、劇団経営と小劇場経営という儲からなさそうなことを何十年も続けて、色々なところで打たれても、なんだかんだで活動を続けてきている。人見知りで挨拶も声が小さかったかと思えば、小さな成果を本当に嬉しそうに得意げに少年のように喋ることもある。作品創作も、演出も、文筆も、経営も、よく嫌にならずに続けているなぁ、と思う。あの静かな情熱って、どこから来るのだろう?面白い人だと思う。

 

オリザさんの発言か何かがネット上で炎上しているらしいと、本人のfacebookの投稿で知った。パンデミックに、小劇場演劇はみんな大大打撃であることは間違いない。オリザさんのことだから、彼なりにできることを必死に色々やっているだろう(ぼくのアプローチと全然違うことをしているだろう)が、本当に大変だろう。

 

「対話」をテーマに掲げるオリザさんだからこそ、「対話」したいと思っているだろう。「わかり合えない」ことを前提の上でポジティブに生きるオリザさんだから、炎上する状況に向き合って現状を冷静に分析し、さらに深めて、炎上をテーマに演劇を作ってみて欲しい。この炎上が頻発する現代社会があぶり出される演劇、そこから何が見えてくるのだろう?その演劇を見てみたいと思う。

 

オリザさんは、(彼なりのやり方で)演劇人をずっとサポートし続けてきていると思う。今、演劇は最大のピンチに面していると思う(もちろん、演劇以外もそう)。演劇人の人々は、今まで稽古場や劇場で多くを過ごしていたと思うが、今、公演の見込みもなく自宅などで過ごすことが多いだろう。大ピンチだから、今までと違う見方で演劇の可能性を見つめ直すチャンスでもあるのは、間違いない。ぼくなんかが思いつかないような、平田オリザさんが思いもつかない方法の演劇が、あり得ると、ぼくは思っている。だから、今、このピンチを切り開く道を見つけていって欲しい、と勝手に期待している。オリザさんが、あとからそれに気づいて、慌てて追いついてくるような、そんな演劇の未来を切り開くチャンスが今あるぞーー、とぼくは思う。そして、とにかく、自殺とかせず、なんでもいいから生き延びて、活動を継続する方法を発明して欲しいと思う。

 

さてさて、今日も四股1000回の集いがあり、今日はダンサーの砂連尾さんも参加して、いろいろ体の使い方について新たな感じ方ができた。四股探求の旅はつづく。

 

その後、「だじゃれ音楽研究会」のオンラインのミーティング+即興セッション。今日は、佐久間新さんも飛び入り参加されて、20人強で遠隔ケチャをやってみて、面白かった。また、ダンスと楽器の即興も試してみたのだが、これが本当に面白い。ますます探求していき

 

集まりが終わると、さっそくタイのアナン、インドネシアのメメットと連絡をとり、タイ、インドネシア、日本で、オンラインでコラボできないかとアイディアを考え始める。

 

相撲と雅楽の文献研究は相変わらず続いている。相撲関係の本だと、相撲節会で勝った人には、「乱声」という勝どきの声をあげる、と書いてあったりするのだが、どうやらこれは間違い。「乱声」とは、雅楽の曲で、笛と打楽器だけの曲のようだ。相撲関係者は雅楽には明るくないことが多いので、こうした誤解が起こったのだろう。

 

例えば、以下の動画で言えば、

1.小乱声 

2.陵王乱声(出手)

3. 還城楽音取 

4.還城楽(当曲) 

5. 安摩乱声(入手)

 という構成になっていて、冒頭と最後に入退場のための音楽(乱声)があって、音取(チューニングの曲)のあとに、メインが来る。メインは後半になってテンポアップする。こういう構成なんだなぁ。乱声が舞手の入退場の音楽だと考えると、相撲人が入退場する時に演奏されるのも、イメージできる。

 

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