野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ちゃんと滅茶苦茶な音楽したい

ネトウヨネトウヨ、と耳にするが、実は、ネトウヨの人々のことをよく知らない。正義感に溢れ、かなり緻密に文章を書き、分析し、短い文字数で効果的に拡散することが得意で、情報処理能力にかなり長けている人々なのだと想像してみた。それに比べると、ぼくは、主義や思想が不明瞭で、なかなか理解しにくい存在で、感覚的で言語化が不十分かもしれない。音楽家の性と言ってしまえばそれまでだが、なんとか説明できるようになりたいと思い、文章を書いている。でも、何で急にみんなでリンゴを食べる曲をやりたくなったりするのか、自分でもなかなか上手に説明などできない。それに比べると、ネトウヨの方々は、おそらく、かなり思想や主張が明確だと思う。

 

ぼくの知人に、ネトウヨ的な人からの正義感に溢れたメールによって、本当に精神的に疲弊困憊している人がいる。おそらくネトウヨの方々の一人ひとりは、本当に有能な人で、いろんなことを知っていて、その上で自分の持っている知識を総動員し、(悪意ではなく正義感で)許しがたい行動をする人に対して効果的に苦言を呈しているのだろう。それは、時には攻撃だったり、いじめだったり、ハラスメントだったり、議論だったり、情報共有だったりするのだろうが、結構、傷つくことが多い。青木将幸さんのようなファシリテーターがあちこちにいれば、また世界は違ってくるのかもしれない。

 

ぼくは、ぼくのやり方で生きていきたいと思っている。正義とか主義とか理念とかが、もうどうでもよくなっちゃうくらい、究極的にバカバカしい表現をすること。理不尽なこと、自分でも何だか説明がつかないいっちゃってることを、うまく説明できないままでも、確信を持ってやっていきたい。そんなことやるのに、何の意味があるの?と聞かれたら、正直、「何の意味があるのかわかりません」と答えるしかない。そして、ぼくのやっている音楽とか、ぼくのような存在の意義があるのか、と言われれば、それも分からない。でも、ぼくは、そんな音楽を、そんな芸術を愛おしいと思う。ぼくの音楽やぼくのような生き方もあってもいいじゃん、と許せるような寛容な社会は、きっとぼく以外の人にも寛容だろう。そんな社会に生きたい。

 

ぼくが書いている文章なんて、全部無意味だー、と吹き飛ばすくらいの滅茶苦茶な音楽をつくりたい。滅茶苦茶なことをしたい。アートかどうかとか、本当にどうでもいい。怒られてもいい。怒っている人も怒るのがバカらしくなるくらいおかしな音楽をやりたい。中学生の時に、ツッパリグループたちから目をつけられて、校門の外で集団で待ち伏せされて、酷い目にあいそうになった。その時は、ぼく自身の奇行に、ツッパリたちは呆れて、ムカつく気持ちも、殴る気持ちもなくなって、笑ってくれた。ぼくが住宅地のど真ん中で大声で歌いながら踊って帰って行く姿を、嘲笑してくれた。あの時に集団リンチを免れたのは本当に幸運だった。あれは、ぼくの原点かもしれない。わざと変なことするんじゃなくって、素でナチュラルに変なことになって生きていく。それが、ぼくの生き方だ。そして、心が弱かったり、折れそうになったりしながらも、なんとか滅茶苦茶にやっていきたいので、応援してくれたら嬉しい。協力してくれたら嬉しい。そして、仲間になってくれたら嬉しい。ぼくとは違うやり方で滅茶苦茶やってくれたら嬉しい。なんとか、みんなで生き延びていく術を見つけたいけど、まずは、ぼく自身が生き延びていくために、ぼくなりに自由にやっていきたい。

 

さてさて、かれこれ10日以上、毎日、四股を1000回踏んでいる。仲間がいて、こうして遠隔で四股を踏んでいて、少しずつ体の感覚が変わってきた。今日は休みなく一気に1000回踏んだ。だんだん体が何かを覚え始めている。こんなことに何の意味があるのか?どういう価値があるのか?まだまだ言葉でうまく説明できないけれども、ここに可能性があると思ってのめり込んでいる。そのことを、こんな未熟な言葉でしか伝えられない。みなさんも、よかったら四股踏んでみてください。そして、うまく説明してもらえたら、ありがたいのだけれども。。。。

 

30年以上前からの友人で録音に人生を捧げている五島昭彦さんとオンラインで話す。近況をただただダラダラと話す。学生だった1989年に、当時パナソニック半導体の研究者だった五島さんと出会い、五島さんの自作のマイクでの録音にワクワクして、五島さんの家に泊まり込み話し込んだ。キャンプファイヤーの火の音を録音したいと、燃やしていいマイクを作るプロジェクトにも協力していただいたし、五島さんとは本当にいろいろ一緒にやってきた。今は、新型コロナウイルスの影響で、自宅から音楽配信したい人からのニーズがあって、五島さんはコロナ以前よりも忙しくなったらしい。また、いろいろやりたいと話し合う。

 

すみゆめの萩原さんをはじめとする方々とのオンライン会議。「北斎バンド」のコンサートに向けて。夏にコンサートをやる予定で企画してきたのが、開催できるかどうかが不透明になってきた。とにかく開催したい。と同時に、主催者としても、ぼくとしても、参加者や出演者の安全を保証したい。ということで、どんなやり方ができるのかを話し合うことに。状況が時事刻々と変化しき、テクノロジーも時事刻々と変化し、人々の興味も時事刻々と変化していく。2020年は、1ヶ月単位で人々の暮らしが激変していく稀有な年になっている。ということで、数ヶ月先のことを想像しながら、しかし、予定通りにいかない柔軟さを持ちながら企画を進めていくことになる。つまり、決めても変わる。そして、この決めても変わることは、ぼくは実は得意分野のはず。決めるのも好きだけど、変更に柔軟に応じるのも好き。ということで、ワクワクするミーティングだった。

 

平安時代の「相撲節会」をずっと調べているが、本日のテーマは、雅楽の「抜頭」。この曲は、右方と左方とどちらのバージョンもあるが、「相撲節会」では左方の勝利楽だったので、もともとは左方だったのだろう。左方の只早拍子という6拍子と、右方の八多良拍子という5拍子のどちらも面白い。そして、舞手の登場曲としての乱声の笛の乱れ具合は本当に面白い。なんちゃって乱声とかやってみたい。

 

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