野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

オーケストラと今も考えている

昨日、作曲が90%完成していた新曲「時の終わりのためのオールド・ラング・サイン」の譜面を校正して、修正し、新曲を完成。譜面を発送。

 

ホームセンターに買い物に行ったり、自宅のDIYに取り組んでいるうちに、鈴木潤さんと共著の「音楽の根っこ オーケストラと考えたワークショップハンドブック」の校正(2校)が送られてきて、校正祭りが再開される。

 

兎にも角にも、オーケストラとかクラシックに対して多くの人が抱いている先入観を、払拭しないといけない。潤さんも、野村も、クラシッともオーケストラとも無縁のアウトサイダーで、でも、アウトサイダーがどんどん入ってこれる敷居の低いのが、オーケストラだ、と感じられるようにしないと、いけない。単に人見知りしただけで、敷居が高いと誤解されてしまうのが、オーケストラ奏者の実情。だから、主席トロンボーン奏者だった近藤さんなんか、如何にフレンドリーなオーケストラになれるかを、いつも真剣に考えていた。そして、ウクレレをやってみたり、様々な工夫をしていた。だから、この本では、できるだけ知られていないオーケストラの側面、魅力、可能性を、大胆に伝えなくっちゃいけない。そのために、デザイン、イラスト、文章表現などが、ちょっとアンバランスでもいいから、収まりよくなく飛び出していくような力を持たせたい。

 

今、校正作業でやっていることは、音楽で言えば、マスタリング作業。もう執筆は終わっているので、録音で言えばレコーディングは終わっている。今やっている最終の校正は、CDをプレスする直前に、もうちょっとだけ、音が生き生きと飛び出してくるようにするマスタリングという作業にそっくりだ。マスタリングの仕方によっては、音が勢いなく整ってしまうこともある。逆に、マスタリング一つで、音楽に力が感じられるようになることがある。マスタリングみたいな感じで、ちょっとの違いで、でも、文章に力が出るような、そんな校正をしたい。最後まで諦めずに、やりたい。オーケストラは終わってる、なんて思っている人々にも、まだ可能性あるぞーー、と踏みつけられても立ち上がって言いたい。それくらいの気概と気迫を持って、校正に臨んでいる。鈴木潤と本を書いているからには、最後まで諦めない。可能性を信じて、小さな一石を投じたい。

 

さてさて、昨年、ギリシアの即興演奏グループが、野村の「しょうぎ作曲」に取り組んだそうで、今頃になって、その動画をYouTubeに公開した。ぼくの「しょうぎ作曲」の説明文を読んでやったのだと思うが、どうやってやったのだろう?不思議な音楽に仕上がっている。この人たちに、会いに行って、「しょうぎ作曲」や即興のワークショップをしたい。ギリシアに行きたい。

 

www.youtube.com