野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

柔軟性のためのハンドブック

吉野さつきさんと打ち合わせ。3月下旬に予定されていたJane Bentleyとのプロジェクトが8月末に仕切り直し。

 

臨機応変に対応する柔軟な社会をいつも夢想している。トップダウンで動く組織だと想定外のトラブルが起こった時に、うまく機能しなくなる。一人ひとりが考えて、シェアして、柔軟性、即興性を持って動ける柔らかな社会や組織。そういうことが可能だ、ということを、ずっと音楽を通して、続けてきたつもりだ。そして、トップダウンで動く組織だと思われていたオーケストラが、こうした本を出そうとしたことは、本当に画期的だと思う。たった一つのオーケストラが変わることも、大きな一石を投じることになると思う。潤さんの書く言葉を、一つひとつ噛み締めて、オーケストラとか社会とかのあり方を、もう一度、根っこから考え直す、そんな機会をもらえたのは、ありがたいことだと思う。鈴木潤さんと共著の「音楽の根っこ オーケストラと考えたワークショップ・ハンドブック」(日本センチュリー交響楽団)の校正作業をしながら、そんなことを思った。

 

ノウハウとかハウツーのための本を書こうとすると、結局、つきつめていくとマニュアル化できないので、毎回、臨機応変に対応する柔軟性のために、具体的な事例を列記して、その時に何をどう考えたかを書いていくのが、最も効果的。それが、編集されて、並んでいくと、圧巻で、音楽の本質。すべてのことの根っこに繋がれる感覚が持てる。ここまで偏った本にしてよかった。校正作業はつづく。校正祭り。里村さんが大いに助けてくれて、8章から10章までやりきる。そして、潤さんからも、次々に修正が送られてくる。いろいろ見落としているところあるなぁ。