野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アナンのパペット指揮者とブラウンのモビール指揮者

11月の東京大学でのシンポジウムの抜粋が、東京大学新聞に掲載されるとのことで、校正。ちょうど2ヶ月前。懐かしい。

 

ロンドンで展示した「しょうぎ作曲」の楽譜9点「1999 Calendar」がロンドンより返ってくる。こんな裏紙にやった楽譜がアメリカで出版されたり、イギリスで出版物に掲載されたり、世界各地で展示されていることが、嘘のようで不思議だ。

 

引っ越しの作業がようやく落ち着いてきて、防音と断熱作業が始まっているが、今日は、楽器の整理。今までとりあえず詰めて収納していた楽器を分類して整理し直し、ようやく落ち着く。2010年に「北斎音楽」をやった時につくったバチもきれいに掃除。あの時は、北斎の生誕250年だった。今年はベートーヴェンの生誕250年。ということは、北斎ベートーヴェンの10歳お兄さん。モーツァルトの4歳弟にあたるのか。

 

新幹線で東京に移動。新幹線の車内で、少し作曲を進める。今の予定のタイトルは、「迷惑野郎の問題行動 ベートーヴェン250」。香港の知的障害者施設JCRCのアート部門i-dArtに滞在中の即興の動画から、ベートーヴェン知的障害者の交差点を見つけては、楽譜に書き込んでいく作業。

 

そんな風に香港のことを考えながら作曲していると、3月の香港のコミュニティ音楽に関するシンポジウムについて、ピートから連絡がきたり、9月に香港で「問題行動ショー」を上演しようと、JCRCの副施設長のメーリンから連絡が来たりする。

 

そして、家の防音について、いろいろ考える。防音には、色々な困難や工夫があり、これ自体がアートのようでもある。「防音アート」というプロジェクトをやってみてもいい気がする。美術家の藤浩志さんだったら、ぬいぐるみを使いまくって、不思議な防音壁をつくるかもしれないなぁ。どんな防音壁を作ったらいいだろう。いろいろな工夫ができそうだ。

 

ちなみに、作曲の合間の読書が、「Beyond Notation - The Music of Earle Brown」。ニューヨークスクールの作曲家として知られるアール・ブラウンについて、今まであまり深く接点がなかったのだが、こうしたまとまった論考集が出ているので、読んでみようと思って読んでいて、面白い。ちなみに、カルダーのモビールに影響を受けた「Calder Piece」が有名だけど、あれはモビールが指揮者。よくよく考えると、「千住の1010人 in 2020年」でアナン・ナルコンが巨大な人形を指揮者にしようとしていることの参考にもなる気がした。見直してみよう。

 

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