野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

メシアンの伝記

呉から京都に戻る。帰りの電車で、Peter Hill & Nogel Simeone著「Messiaen」(Yale University Press)を読了。作曲家オリヴィエ・メシアンの伝記。写真や図版の多い本で、メシアンの自筆譜や作曲のメモなども数多く載っている。また、メシアンの日記やノートも参照しているので、かなり詳細に記述があって、面白かった。この作曲家は、敬虔なカトリック信者で宗教的な題材の曲が多いので、宗教に興味がないと曲を聴く気がしなくなるかもしれないが、彼の音楽は宗教を超越するぶっとんだ音楽。

 

晩年の傑作「アッシジの聖フランチェスコ」というオペラは、作曲に8年を要しているが、実は1年半くらいで作曲は終わっていて、その後、すぐにオーケストレーションする予定が、体調を崩して、そこから6年くらいかかってしまったようだ。70代に入って、体調を崩しながら、4時間を超えるオペラを完成させたのは凄いし、75歳でオペラが完成して、燃え尽きて、しばらく全く作曲できなかったと知り、メシアンのような超人的な人でも、やっぱり燃え尽きて鬱になってしまったりもするのか、と驚いた。晩年は色々な構想はあったものの、実現していないアイディアもいっぱいあったようだ。ちなみに、来年4月に、中川賢一さんと名古屋で、メシアンに捧げるコンサートをする予定。

京都に戻り、「ハイドン盆栽」の6曲の楽譜を校正し、若干手直しをして、11月12日のレクチャーに備え、ハイドンのスコアを読んだりする。いよいよ引越作業も大詰めなので、その後は段ボールと格闘。