野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

門限ズインタビュー

半年前のインタビューを読み返す。「ゲキジョウ実験!!! 銀河鉄道の夜→」をぼくは、こう語っていた。

 

基本は、美しい舞台になる、と思ってる。まずね。で、ちょっとおかしな舞台にもなると思う。そして、その美しさというのは、「どうやこれ美しいだろう!」という美しさではなくて、ちょっと目を向けなかったら、見過ごしてしまうような美しさ。出ている人たちは知っている人たちだったりするかもしれないけど、でもそこには、知らない美しさがある。そういう美しさの舞台を、その日公演を見に来て、体験したら、次の日からの日々が変わってしまうような舞台になると思う。公演はいわば銀河鉄道の旅です。そして私たちは戻ってくるわけですよ。戻ってきた後には日常に帰っていくわけです。お客さんも、ワークショップに参加した人も、僕たち門限ズも。その誰にとっても、その日常っていうのが、銀河鉄道の旅に出る前とは違って見えるっているものを作ろうと思っています。何ともないと感じていた日常や、見知った場所、見知った人も、こんないいところあるんだなと気づくような。

 

鳥取を出発して高速バスに乗る。何度も通った風景を見る。でも、まだ夢の中にいるようでもある。現実に戻るべく、David Osmond-Smith著「Berio」を読み始め、ほどなく読了。20世紀後半に活躍したイタリアの大作曲家。エレクトロニクス、民謡、声、音楽劇、いろいろな実験をした前衛の巨匠。読み終わると、どっと疲れが出て、急に眠たくなって、京都駅まで、ずっと眠ってしまう。本当に疲れていたし、無事に終わって、肩の力が抜けた。

 

目が覚めると、京都駅だった。夢から覚めた感覚。家に戻ると、普通の日常が待っていた。洗濯をし、引越しの作業をする。作曲しなければいけない曲があるからピアノに向かったけれども、作曲しても宮沢賢治の宇宙になってしまいそうで、今日は作業できなかった。まだ、現実世界に戻れていなくて、少しリハビリが必要。今日は、ぼーっとしよう。明日の朝、目覚めたら、京都の現実に着地できそうな気がする。

 

春の門限ズのインタビュー全文を読み返し、余韻に浸って過ごす。エンちゃんが言ってる通りになったなぁ。

 

僕はね、会場となるとりぎん文化会館の形状に、これからつくっていくパフォーマンスをうまく落とし込んでいきたいと思ってる。ああ、このパフォーマンスをするためにこの会場はこういう形で建てられているんだと言わしめるくらいにね。米子市の児童文化センターで森山さんが解説してくれたプラネタリウムの投影機はさ、造形としてもすごく美しいんだけど、投影するっていう必然性を持ってあの形になったわけでしょ。それと同じ様に、とりぎん文化会館の形がね、なぜ中庭があるのか、なぜホワイエが吹き抜けで1階と2階があって階段が繋がっているのかが説明できるくらいにね、このパフォーマンスのためにこうなっていたんだって説得できるくらいの。そういうものにしたいですね。

 

http://totto-ri.net/interview_mongenzu001/
http://totto-ri.net/interview_mongenzu002/