野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

メシアン三昧 旅する楽器たち

劇場プロデューサーの藤井明子さん、ピアニストの中川賢一さん、中川さんのマネージャーの北山絵美さんと打ち合わせ。1年前に、中川賢一と2台ピアノのコンサートをした。

 

http://www.monten.jp/20180904

 

オリヴィエ・メシアンの「アーメンの幻影」で共演させていただき、野村の2台ピアノの作品を片っ端から演奏していただくコンサート。メシアンピアノ曲全曲演奏会を何度も行うピアニストの中川賢一さん、メシアンに多大な影響を受けた作曲家の野村誠。この二人でコンサートを行えたのは、本当に貴重な体験だった。ぼくは新作「オリヴィエ・メシアンに注ぐ20のまなざし」を作曲した。またメシアン×中川×野村での企画が浮上してきている。中川さんからは、観客参加や何かの要素のある「メシアンゲーム」という楽しい無茶振りをいただき、無茶振り大歓迎の野村としては、これは新曲「メシアンゲーム」を作曲したい、と思った。メシアン三昧、メシアンづくし。構想を練るのは楽しい。

 

相変わらず神奈川芸術劇場でのクリエーションが続いている。鳥取の「たみ」というゲストハウスから、わざわざ運んできた骨董楽器ミニピアノが、素晴らしい味を出している。戦後すぐに物資がなかった頃に、少ない材料でピアノを作ろうと作ったミニチュアのピアノ。弦が一本だが、立派なピアノだ。70年以上の月日が経ち、故障箇所を最低限メンテナンスしながら、なんとか使っている。戻らない鍵盤、不具合の鍵盤と折り合いをつけながら演奏している。本番まで無事に活躍してくれと、毎日ご機嫌をとっている。きっと、鳥取で天寿を全うすると思っていたミニピアノは、まさか横浜にくるなんて思ってもいなかったろう。あと数日後には、150人ものお客さんが入る公演を4回もするんだよ。おそらく、そんな経験もミニピアノにとっては初のことだろう。がんばれ、ミニピアノ。

 

淡路島からやってきた瓦たちは、フランスからやってきた瓦と出会い、さらにはフランスからやってきた装置と出会って驚いている。そもそも、ゴルフボールで叩かれて楽器になった時点で、かなり驚いていた瓦たちは、今度はmidiコントローラーで制御された装置とコラボしている。面白いものだ。

 

まだまだクリエーションはつづく。そして、明日には消費税が増税かと思いながら、コンビニで最後の8%の買い物をする。