野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

シュトックハウゼンの相撲レクチャー

今日の大事件!20世紀のドイツの現代作曲家シュトックハウゼンが、相撲について熱く語っている動画に出会った。朝、パソコンを開き、何気なくYouTubeで、適当に動画を再生していたら、シュトックハウゼンのレクチャーが再生された。シュトックハウゼンのレクチャーを流しながら、メールを書いていた。すると、シュトックハウゼンが、突然、相撲の話を始めたのだ。

 

てっきり、軽く日本の文化について説明する程度かと思っていたら、シュトックハウゼンは延々と、相撲の魅力について、細かく説明する。塩をまく仕草まで真似し、四股を踏む動作もやってみて、しかも、本当はもっと足が高くあがるんだとか、ズボンが破れそうになったり、行司の真似をしたりして、大熱演で10分近く相撲を説明し続けるのだ。本当に短い時間の取り組みに対して、非常に長い仕切りの時間がある、永遠と瞬間の時間の関係性に、シュトックハウゼンは魅了されているようだった。

 

このレクチャーは、1972年にEssex Universityで行われたもの。ドイツ人がイギリス人に向かって、延々と相撲を解説している非常に珍しい動画。ああ、この動画を、シュトックハウゼンが生きているうちに見ることができたなら、ぼくは、シュトックハウゼンに会いに行き、彼と相撲のプロジェクトを一緒に考えただろう。彼も、相撲聞芸術家だったのだ。

 

本日は、自宅。参議院選挙の期日前投票に行った以外は、自宅でピアノの練習。8月25日のアコーディオンとのコンサートに向けて。2007年に作曲の全10曲の「動物の演劇組曲」が、なかなか難曲。この10曲は、山下残の舞台作品「動物の演劇」の音楽が元になっていて、2007年に何度も本番をやったので、12年前にはスラスラ弾いていたはずなのだが、全然指が覚えていないし、全然すぐには弾けない。こんなに忘れるんだ、と驚くが、譜読みをするしかなく、弾いているうちに、少しずつ指が思い出していく。あと、もう一つショックだったのが、視力。12年前に使っていた楽譜が、譜めくりをしやすいそうに、縮小コピーをしていて、音符が小さ過ぎるのだ。12年前の38歳だった頃は、まったく老眼が始まっていなかったことを痛感する。

 

同じく8月25日に演奏する新潟組曲「水と土のこどもたち」の6曲も練習するが、こちらは一年前に弾いているので、断然、指が覚えている。そして、弾きながら、ちょうど一年前に、新潟のこどもたちと過ごした時間を懐かしく思い出す。

 

夜は、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)の会議。いっぱい笑った。(特にシュトックハウゼンについて)

 

シュトックハウゼンの相撲講義は、以下の動画の29分30秒あたりから、ご覧ください。

 

Lecture 6 - TELEMUSIK (1972) Karlheinz Stockhausen - YouTube