野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

野村のピアノ教室→香港のカーニバル

本日は、6歳のJくんと、音楽で遊ぶ日。何日も前から、「もうすぐ野村くんが来る日」と待ちわびてくれていたらしい。そんな風に楽しみにしていてもらえると、嬉しい。ぼくも一緒に音楽で遊べるのは、とても楽しいが、普通に手帳を見て、今日はJくんの家と思って来た。子どものワクワクするフレッシュな気持ちを見習いたい。

 

今日は、耳コピーした曲があると言って弾いてくれる。ああ、どこかで聞いた曲。なんだっけ。曲の感じからして、久石譲だと思うけど、宮崎アニメに疎いぼくには、わからず。調べてみると、「千と千尋の神隠し」だった。メロディーは、ほとんどコピーできていて、左手の伴奏もまずまずいい感じ。これだけできてるので、下手に教えるよりも、自分で見つけた方がいいだろうから、あんまり教えずに、でも、ほとんど説明せずに、目の前で弾いて見せたりする。指づかいも、あんまり教えず、でも、苦労しすぎてたら、少しだけ教えるけど、強制はしない感じ。

 

続いて、ピアノ教室の発表会で弾くモーツァルトを弾いてくれる。弾きにくそうにしていたところ、別に教えないけど、そこ難しそうだね、手が大きくなったら、楽なるよ、とか言って、ちょっとだけ大きい手で弾いて見せたりする。

 

そのうち、YMOを昨日YouTubeで聞いていたみたいで、YMO弾きたいと言うので、東風とか耳コピーして遊ぶ。そのうち、「ねこふんじゃった」も弾き始めるJくん。久石譲モーツァルトYMOもねこふんじゃったも並列。「ねこふんじゃった」が、黒鍵以外に、白鍵で、ファとシを使うことに気づいたJくんは、ピアノの一番下から一番上まで、この音階の音を全部弾く。そして、この音階を使って、自由に鍵盤ハーモニカで演奏するように言ってきた。賢い!彼が「ねこふんじゃった」を弾き、その間に野村が、この音階だけを使ってアドリブするように言ったのだ。

 

野村がアドリブすると、じゃあ、もっと速く弾いてみよう、と言って、もっとアップテンポで弾いたりする。それで大盛り上がりしたあとに、急に思い出したように、五線紙を出して、野村のパートを書くように言う。と書こうとしたら、急に、前々回につくった「スパゲッティマーチ」の楽譜が目に入り、彼は完璧に覚えていたので、これを二人で合奏。

 

合奏した後、彼に命じられたまま、野村のパートを作曲して楽譜に書くと、途中で、「思いついた」と言って、途中から、自分で楽譜を書き始める。「ねこふんじゃった」は、実は#が6つの曲で、Jくんがファのナチュラルだと思った音は、楽譜ではミの#になるので、そこだけ一応説明。「題名つけないと」と言って、「猫ふんじゃったへんそう曲」と書く。1年生で「猫」という漢字が書けるのがすごい。漢字が好きらしく、4歳の時に、「鬱」という字を(意味もわからず)書いたらしい。

 

その後、電子キーボードのリズムトラックに合わせて、「猫ふんじゃったへんそう曲」を合奏。1時間半も熱中して終わらないので、お母さんがそろそろ晩御飯、と言って、タイムオーバー。来週、十和田で家庭のピアノを弾きに回るツアーをするけれども、一箇所に15−20分くらいの滞在で、1時間半も滞在したりはしない。でも、家のピアノを弾く、生活の場で音楽をするのは、楽しい。

 

夜は、香港のベリーニと打ち合わせ。4月11−13日の国際会議「知的障がい者のアート活動」&カーニバルのこと。世界各地から様々なゲストが集まっての国際会議なので、それ自体が面白いのが、参加者全員での立食ランチで交流したり、そこで様々なアイスブレイクがあったり。障がい者の親の体験談があったりする。本当に面白いプログラムだ。

 

4月13日のワークショップは、単なる講座にはならなさそうだ。ぼくの講座にも、佐久間さんや砂連尾さんの講座にも、台湾から来るダンサーの講座にも、知的障がいのJCRCの利用者たちが参加し、ノンバーバルに様々な交流が行われる場が実際に立ち上がる。

 

さらには、午後のカーニバルは、野外のイベント。港の近くにて、特設ステージ、オープンエリア、芝生のエリアの3カ所で展開する。(障がいのある)アーティストがマレーシア、イギリス、中国、マカオ、日本、香港、などから来て、ステージパフォーマンスなどがある。しかし、単にステージだけでなく、もっと観客とダイレクトに関わるインタラクティブなパフォーマンスが、芝生やオープンエリアで行われる。ここに、砂連尾理さんや佐久間新さんも加わるし、新倉壮朗くんも加わり、JCRCの利用者の人々によるマコトバンドも加わる。また、池田邦太郎さんの手作り楽器講座も行われる。自然薯クラブの太鼓もあり、最後はパレードになる。パレードの後、イギリスのハート&ソウルのグループによるダンスミュージックで最後はクラブ状態になると言う。

 

ということで、香港の陽気なi-dArtの人々が総力をあげて準備している国際会議とカーニバル。あまりにも面白そうなので、打ち合わせをしながら、ワクワクしてきました。ベリーニ、香港のみんな。おつかれさま。4月に会おう。興味のある人は、この機会に香港旅行を是非。そして、現地で美味しい中華を食べましょう。

 

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