野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ピアノと鍼灸と家庭訪問とルー・ハリソン

2月6日に、アテネでのコンサートで「しょうぎ作曲」した録音や画像が、デンマークのカールさんから送られてくる。鶴見幸代から、昨日、沖縄でのコンサートで「しょうぎ作曲」をした、と報告がある。1998年、30歳の誕生日を迎えた直後、パリで「どないやねんー現代日本の創造力」という展覧会に参加した時、6週間の滞在中に、いろいろな活動をした。その時に、しょうぎ作曲を思いついた。20年続いているのか、と思う。あの時、同じアパートでレジデンスしていた陶芸家のきむらとしろうじんじんも、20年経っても、野点やってるなー。そして、あの時、「出前パフォーマンス」でパリの様々な家を訪問する家庭訪問のようなパフォーマンスしたが、20年経ったけど、来月には、十和田で家庭のピアノを巡る家庭訪問コンサートツアーをする。とりあえず、来月の十和田のイベントは、こちら。

 

towadaartcenter.com

本日は、鍼灸に行って、鍼を刺され、お灸をされて、復活。その後、調律師の上野泰永さんと打ち合わせ。上野さんは、鍼灸師のような調律師。鍼灸師が身体の自然治癒力を最大限に発揮させようとするように、上野さんはピアノの能力をもっとも活かすために、あの手この手を使う。普通ではやらない裏技もいっぱい飛び出す。ピアノの演奏の仕方って、まだまだ可能性あるんじゃないの?といつも、問いかけてくる。刺激的な調律師。5月26日には、スティマーザールで、「ピアノの本音 第4回」を開催する。十和田でのいろいろなピアノを巡るツアーで、コンディションの違う様々なピアノを弾くことは、「ピアノの本音」にも影響するだろう。

 

その後、「ピアノの本音」の宣伝原稿と、3月2日に再演になる野村誠作曲ヴァイオリンとバリガムランのための四重奏「ルー・ハリソンへのオマージュ」の曲目解説の作文をする。作文するために、ついついルー・ハリソンに関する本を読んでしまう。アジアと西洋の融合するような作曲家ルー・ハリソンが20代には、カール・ラグルスの無調の不協和音ポリフォニーに熱中して、ラグルスに関する本を執筆しようとしていた。

 

ということで、曲目解説

 

野村誠作曲 「ルー・ハリソンへのオマージュ ヴァイオリンとバリガムランのための四重奏曲 」

 

アメリカの作曲家ルー・ハリソンは、ガムランやアジアの楽器と西洋楽器のために多数の美しい作品を作曲した。若い頃、彼は「ミヨーへのオマージュ」や「ヘンリー・カウエルへのオマージュ」と先輩作曲家に捧げて作曲している。ヴァイオリンとバリガムランというルー・ハリソンが書きそうな編成での委嘱がきたので、「ルー・ハリソンへのオマージュ」というタイトルをつけた。作曲にあたり意識したことは、瞬時にトランスさせる強烈なバリの響きにヴァイオリンが回収されないこと。西洋と東洋という安易な二項対立に陥らないこと。両者の出会いが新鮮な音楽体験になること、など。ルー・ハリソン生誕100年にあたる2017年に作曲。2018年1月「世界のしょうない音楽祭」にて、巖埼友美とギータ・クンチャナにより世界初演

 

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