野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヴィラ=ロボスの本を読んで

本日、東京に移動。移動の新幹線の車内で、Simon Wright著『Villa-Lobos』(Oxford University Press)、読了。《ブラジル風バッハ》、《ショーロ》など数々の作品を生み出した20世紀南米を代表するブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスに関する本。

 

フランスの作曲家のミヨーが第1次大戦中にブラジルに行っていて、ヴィラ=ロボスはミヨーを通して、当時の最先端のフランス音楽(ドビュッシー他)に触れる機会を得たりしているし、ヴィラ=ロボスがパリにいる時には、ヴィラ=ロボスのアパートに食べ物一品持ち寄りでパーティーがしばしば催されていて、そこに、ヴァレーズ、ピカソコープランド、ルビンシュタインなどなど、集っていたらしい。別の本で、ヴァレーズはヴィラ=ロボスのアパートでの集いで、ブラジルの打楽器の即興セッションに参加して、そこから打楽器アンサンブルのアイディアを得たと読んだことがある。つまり、ミヨーがブラジルに行って、その影響の後、ヴィラ=ロボスがパリに来て、ヴィラ=ロボスのパーティーに参加したヴァレーズが打楽器アンサンブル《イオニザシオン》の着想を得て、ヴァレーズがアメリカの作曲家たちに影響を与えて、ジョン・ケージルー・ハリソンが打楽器アンサンブルやって、、、、、と考えると、ミヨーやヴィラ=ロボスの交流が、意外に音楽史上は大きな影響を与えていたような気がする。

 

『異能者たちの住むところ 野村誠の香港日記』の校了で入稿。香港のi-dArtの人々がギリギリまで校正してくれたり、資料を送ってくれたり、本当に助かった。そして、3年前のクレイジーな日々が本当に有意義だったと改めて思った。編集・デザインの里村真理さんも、どんどんデザインをエスカレートさせてくれて、面白い本になったと思う。それにしても、滞在中になんとなく理解していたことを、冊子にしようと思ったことで、ずいぶん、いろいろ質問したりして、出会い直せた感じもある。

 

今朝は、四股1000で、鶴見幸代のオーケストラ曲の初演の話など。最初、三線にマイクつけずに、オーケストラが超弱奏で演奏していたらしい。トランペットがメロディー吹いたりするのに、三線にマイクなしは大変だー。ちなみに、ぼくが2017年に作曲したヴァイオリンとバリガムランのための《ルーハリソンへのオマージュ》という曲も、マイクつけずに合奏しているので、バリガムランはかなり弱奏しなければならず大変ではある。ヴァイオリンにマイクをつけてガムランを思いっきり鳴らすバージョンもいつかやってみたいなぁ。