野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

今日は出張音楽教室

1年生のJ君の家に行って、ピアノを教える日。いや、ピアノを教えるというよりは、音楽を楽しむといった感じか。というのは、彼はピアノを習っていて、それと並行して、音楽を楽しむ日を持つことになったから。

 

今度、発表会で弾く予定の曲の譜面を見せてもらう。でも、弾いて聞かせるのは恥ずかしいらしいので、ぼくが弾いてみる。

 

ピアノを聞かせてほしいとリクエストすると、「楽器がいっぱいあるよ」と、鉄琴を出してくる。「ドレミのうた」だったら弾けると、「ドレミのうた」を弾いてくれる。しかし、ピアノの方が、もっと上手にできると、ピアノで「ドレミのうた」のメロディーを弾いてくれるので、ぼくは連弾して、伴奏を弾く。

 

つづいて、ウクレレを出してきた。ぼくも、普段はウクレレを触らないので、ウクレレ調弦して、CFGの3コードを弾いてみる。J君は、ウクレレのコードに興味を示すことはなく、ウクレレの指板にあるポジションマークに興味を持つ。「多分、ここをおさえるといい音がするんじゃないか」と言う。なるほど。そこだけを押さえて演奏すると、面白い演奏ができるかもしれない。そうやって、音を鳴らしていたら、「今、ボヘミアン・ラプソディーみたいな音がした」とJ君が言う。発表会の課題曲を弾いてもらおうとしたら、鉄琴になって、「ドレミのうた」になって、ウクレレになり、ウクレレ鳴らしたら、ボヘミアン・ラプソディーになる。あまりの展開に、ぼくはただただ驚くばかり。

 

続いて、ティッシュペーパーの箱に輪ゴムをかけて作った手作り楽器を見せてくれる。お母さんと家で工作したらしい。これが、偶然の調弦で面白い。これ、ぼくも自宅で作って作曲に活用しようと思った。ティッシュの箱の楽器を演奏していたら、それに合わせて、J君が即興でピアノを弾き始める。なんと、全部黒鍵でデタラメに弾いているのだが、いい感じに曲になっている。すごいアドリブ力。頭やわらかい。そしたら、最後に、見事に4声部で終止和音を黒鍵で弾いて終わった。なんで!君は、こんなにオーソドックスな4声ハーモニーがわかってるの?と質問すると、実は、「ねこふんじゃった」の終止和音から覚えたらしく、「ねこふんじゃった」を弾いてくれる。

 

その後、おやつを食べながら、「ボヘミアン・ラプソディー」の音源を聴き、少しピアノで実演して、本日のレッスンは終了。

 

こうやって、定期的に子どもに教える機会があるのは、本当に楽しい。要するに、頭がやわらかいので、一緒に遊んでいる感覚で、J君は成長していくし、こちらは、いろいろ発想を広げるヒントをもらえる。

 

ということで、お宅を訪ねて、そこのピアノと出会うことの一例なのですが、3月には、十和田でいろいろ町のピアノを巡ります。ただ、めぐるだけじゃなくって、それぞれの家でピアノ曲を作曲しようと思っています。詳細はこちら。

 

towadaartcenter.com

 

というわけで、J君、また来月ね!