野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

越後獅子コンチェルト脱稿

昨日、一日中「越後獅子コンチェルト」の譜面を書いていたのですが、昨夜、夜中の3時過ぎに力尽き、今朝、また起きてから、続きを書いておりました。取りあえず、全4楽章で、30分ほどの作品。編成は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラダガンバ、コントラバスクラリネットトロンボーンシタール、バリガムラン、ピアノ、箏、三味線、尺八が、プロの演奏家なのですが、これに加えて、アマチュアの方々が、ほぼこれと同じ編成の楽器をされて、しかも、その多くが初心者という驚愕のオーケストラなのです。午後1時まで、粘れるだけ粘って譜面をどんどん書いていき、ここでタイムリミット。とりあえず、16時までにはパート譜を送ります、と宣言し、パート譜を作成。なんとか16時までに発送し、3日ぶりにお風呂に入ってリフレッシュして後、豊中を目指す。

ああ、小学校の時の同級生の女の子が、転校していった先が豊中で、しばらく、文通していたことを、ふと思い出す。いつも、住所に豊中と書いていた。村上さん、元気かなぁ。「タヌキとキツネ」を作曲していた小学生の野村くんは、40年近くの月日が流れて、「越後獅子コンチェルト」を作曲して、豊中を拠点としている日本センチュリー交響楽団と仕事をし、豊中にある大阪音大にリハーサルに向かうのです。あの時は、まさか、自分と豊中に縁ができるなどとは、思いもしなかった。不思議なものだ。

そして、怒濤のようなワークショップが過ぎていきました。昨年度は、ワークショップ参加者の人々に、パート譜を渡し、それを見て演奏する形をとりました。その結果、練習は楽に進んだのですが、みんな楽譜に眼が釘付けになった。今年は、できるだけ遊びの要素を盛り込んで、譜面に釘付けにならずに進めるように作曲したので、より言葉や実演での説明が必要になり、練習の効率やスピードは、昨年度よりも遅くなりますが、急がばまわれ、一つずつやっていくのが最善なのです。とにかく、なんとか最後まで、一応、通しきりました。

世界初演は、1月12日の「世界のしょうない音楽祭」です。第1部では、シタールインド音楽の弦楽器)と十七絃(宮城道雄が発明した低音の箏)の二重奏で田中峰彦さんの新曲、ヴァイオリンとバリガムラン野村誠の新曲「Homage to Lou Harrison Quartet for Violin and Balinese gamelan」、そして、地歌越後獅子」を尺八、箏、三味線、地歌で、お聞きいただきます。そして、第2部では、野村の「越後獅子コンチェルト」が世界初演になるわけです。

入場無料なのですが、1000人以上収容する大ホールにも関わらず、入場整理券が打ち止めになりそうです。おそらく、整理券をもらったが、都合が悪くなってこれなくなる人も出る可能性がありますから、当日、来ても、かなりの確率で入場できる可能性はありますので、諦めずに(確約はできないですが)。好評であるのは嬉しい限りです。