野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新潟にて、リハーサルとトークイベント

新潟に移動。

りゅーとぴあ練習室にて、アコーディオン奏者の大田智美さんと野村の新曲「新潟組曲『水と土のこどもたち』」を中心にリハーサル。野村作品を数多く演奏している智美ちゃんだけあって、作品の理解は非常に早く、あっという間に曲が仕上がっていく。9月1日の世界初演に向けて、非常に良いリハーサルができました。ああ、楽しかった。

その後、日本センチュリー交響楽団マネージャーの柿塚拓真さんとのトークイベント。日本センチュリー交響楽団が約30年前に、大阪府が運営するオーケストラとして成立した事情、その後、当時の大阪府橋下徹知事から補助金を全額カットされ、府から独立し、その後、財源を食いつぶしながら活動を続けてきたが、もう残り1、2年で財源がなくなってしまう存続の危機的状況にある、という現状の説明から始まった上で、なぜコミュニティプログラムを始めたかを語り始める。そして、オーケストラの定期演奏会などの活動も、ワークショップなどのコミュニティプログラムも、どちらも分け隔てなく芸術活動である、と強く語る柿塚さんの話が印象的だった。

大田智美さんが、14年前、まだドイツで学生だった頃、2週間ほど、フランスのリールでの野村誠のプロジェクトに参加したことがあった。普通に音大でクラシック音楽を学んでいた智美ちゃんにとって、この2週間に、こどもとのワークショップもあれば、出前パフォーマンスで一般家庭に訪ねての演奏もあれば、メトロの駅でのしょうぎ作曲、鍵盤ハーモニカとの共演など、様々な体験は、どれも新しく戸惑いも多かった。その後、ドイツに戻って、またもとの通り、音大での生活が始まると、何人もの友人から、「音が変わった」と褒められたらしい。自分では意識していなかったのだが、そうした体験で、音の聴き方が変わったことが大きかったのだろう、と今ならば、思える、とのこと。嬉しい話を聞いた。